2016年に中国で大ヒットした、上海が舞台の現代ドラマ『欢乐颂~Ode to Joy』(全42話)。
私が見たのは2018年。当時、たまにSkypeレッスンを受けていた中国語の先生におススメされたのがきっかけでした。おススメされた理由は、懐かしい上海が舞台であること、とにかく大ヒットドラマだということの他に、現代ドラマなので実践的な中国語の勉強になるということ。
その頃の私はまだ台湾ドラマ中心であまり大陸ドラマは見てなかったのですが、台湾ドラマだと発音がちょっと違ったり、流行の言い回しや語尾の癖が違ったり、なにより、大陸ドラマは故事成語がいっぱい出てくるので、すごく勉強になるのです(故事成語は、中国語検定やHSKでもよく出てくるけど、ものすごい数あって、なかなか覚えられないから会話に出てくるのは貴重。それでも別に覚えられはしない💦)。
というわけで、理解できるのかどうかも含めて半信半疑のまま、YouTube中国語字幕で見始めた『欢乐颂~Ode to Joy』。あっという間にハマり、現代中国(2015年頃ですが)の若い男女の抱えるいろいろな問題や、親子の世代による考え方の違い、いびつな家族関係に興味津々で引き込まれていき、完走するや第二季(全55話)を続けて見て、ダンルンとの出会いとなったきっかけドラマなのです。
今回見返したきっかけは、先日視聴していた『都挺好~All is Well~』(邦題:『それでも、家族』。全46話)が制作会社、原作者が同じで似てたけど、やっぱり私は『欢乐颂~Ode to Joy』の方が好きだなぁと思ったから。こっちを日本上陸させないで、あっちを上陸させた理由がいまだによくわからない。あっちの方がドラマとしての完成度も一般的評価も高いからかなぁ。。。
で、6年ぶりに通しで見ました!『欢乐颂~Ode to Joy』
やっぱり、面白い。主人公の5人の女性みんながそれぞれに悩み、苦労しながらも輝いてる(そんな暢気なものではないけど)。
そして、言葉は、現代劇でもあり、時についていけないほどスピード早めで故事成語も多いし、様々な言い回しや流行り言葉や英語名への当て字なども頻出で、なかなか難易度が高い!
2018年当時の私にどこまで理解できていたのだろうと疑問に思うほど、今でも辞書なしで100%の理解はできない(が、実際にはよほど気にならなければ辞書なしでスルーしてるから、勉強にもなってない。)。さらに、初見は中国ドラマ見始め期だったので、知らない俳優さんばかりだったのが、今見たら、親世代や脇役含め、あちこち有名どころで固められているばかりか、セリフに知ってる俳優の名前や別のドラマで知った知識や名前が出てきたりと、お楽しみも倍増。
自分のオタク度が上がっていることも実感💦
このドラマの主人公は20~30代の独身女性5人。
①刘涛(Liu Tao)が演じる、アメリカから帰国したバリバリの仕事ができる女性・安迪(アンディ)31歳くらい。
②蒋欣(Jiang Xin)が演じる、車と家と上海戸籍を手に入れられる玉の輿を目指す美人OL樊胜美(Fan Shengmei)30歳くらい。
③王子文(Wang Ziwen)が演じる、ほとんど遊びのアメリカ留学帰りのお金持ち二代目のはねっかえり娘・曲筱绡(Qu Xiaoxiao)25歳くらい。
④杨紫(Yang Zi)が演じる、やや貧しくも人に恥じない生き方や価値観を持つ家で育った、突撃系かわいい系女子・邱莹莹(Qiu Yingying)24歳くらい。
⑤乔欣(Qiao Xin)が演じる、まじめな中流家庭でまじめに育った聞き分け良くおとなしい娘・关雎尔(Guan Juer)23歳くらい。
欢乐颂という名前のマンションの22階に住むことで出会う5人。②④⑤の3人は、ルームシェアの賃借人として2202号室に住み、①③の二人は2201号室、2203号室にそれぞれ住むお金持ち。経済的格差もあり、仕事も家庭環境も違う5人が出会って仲良くなっていく過程、それぞれの仕事や家族、恋愛模様が見どころです。
6年ぶりの二度目なので、結構新鮮で、毎日夢中で(またも第二季まであっという間に)見てしまいました💦
エピソードは盛りだくさんですが、やっぱり、①アンディの、人と接するのを拒絶する態度の異常性+恋愛模様と家族の悩み、②小美の、えげつないまでの上昇志向とヤバすぎる実家問題が突出してる。
③④⑤はいろいろありつつも想像のつくレベルなんだけど、①②はあったら怖すぎるレベル(ありえない話でもないけど)。
そして、①③の二人がかなりのお金持ち(糸目をつけずに、ためらいなく使えるレベル)なのは、何かと助かる。この人たちがいなければ、このお金がなければ、いったいどうなってしまったのかという場面多数。そういう意味では、リアリティはあるようなないような。
エピソードがどれもこれも濃くて到底紹介しきれないので、ざっくりそれぞれの人物の物語の特徴を紹介し、ダンルン登場の第二季に繋げる作戦で。
1)アンディは、人と接触するのが苦手すぎる
アンディは仕事はバリバリにできて聡明な女性だけど、握手も無理、人に体に触れられるのが病的に苦手な人物。これでアメリカで育ち・仕事していてようやく帰ってきたとはどういうことか、というレベル。この彼女が、チャットで知り合っていつも話していた相手と実際に会い、相手に好かれて恋愛関係を始めていくのも一つの大きなエピソードなのですが・・・この相手、ハンドルネーム奇点を演じているのは祖峰(『山海情』での麦苗の父・白校長は素晴らしかった彼ですが、ここでは微妙にキモイ)。あの手この手で距離を縮めてくるのが、1回目見た時も嫌だったけど、2回目見てもやっぱりちょっとムリ。彼なりに、彼女の病的な恐怖心を克服させようと手伝っているみたいだけど、なんだかな。
↑ 左端が問題の彼氏・奇点。真ん中は、③の彼氏のお医者さん(演じているのは王凯)。
それに比べて、彼女を好きだけど彼女の過去や特性に配慮して、友人として、仕事仲間(上司)として、彼女を見守り、導こうとする老谭(演じていたのは靳东)がずっとずっとカッコよかった。まさか誰かと恋愛を始めるとは思わずに見守っていただろうに、あっさりとネット友達と恋愛を始めようとした彼女を戸惑いつつも見守りに徹し、いろいろごたごたを経て一手に信頼を引き受けながらも、彼女が彼と別れてもまた次の男にかっさらわれましたが😿
アンディのこの心理的問題は、幼い頃、弟と二人孤児院に預けられ、そして別々にもらわれて、子ども時代に渡米し、心を閉ざして育ったことに起因。弟探しも手伝ってくれる老谭に中国での仕事で呼び戻され、弟を見つけるも・・・弟は重めの精神病で施設にいる。実は老谭は彼女の親についても情報を得ていたけど、彼女を思って秘密にしてたのに、奇点が余計な気を利かせて探し出した(死んだはずの)実父と対面させてしまい・・・彼女は、祖母の代からの遺伝性の精神病を持つ母(大人になってから発症)の血を引くことを知ってしまい、自分もいつか弟のように発狂するのではないかと激しい不安に駆られ、恋愛も結婚も無理だと再び心を閉ざす展開に。
これは、私の知る限り、相当深刻な悩みレベルでした。
2)小美の実家がヤバすぎる
小美は、とにかく、車と家と上海戸籍(それをくれる男性)をあさましいまでに求める、虚飾の美女。その理由は、実家(老いた父と母とダメすぎる兄と兄嫁とその息子)という名もブラックホールからの脱出を渇望しているから。
出来の悪い兄を男尊女卑で溺愛し、しっかり者の妹・小美にぶら下がって生きている一家は、上海から車で数時間の江蘇省・南通市にいて、小美は外資系会社に勤めているのに、収入の多くを実家に仕送りしていつも金欠。
兄の就職先も小美の紹介で実家の近くで探したのに、同僚を殴ってけがをさせた兄は警察に捕まり、殴られた方の親族が実家に押しかけてきてお金をたかる、など、泥沼は深刻化するばかり。逃げ出していきなり上海駅に電車でやってきた老父母と幼い甥を夜遅くにみんなで探し回ったり、ルームシェアの家に泊めたり(トイレを汚したり、室内でタバコを吸おうとしたり、室内に痰を吐こうとするとする父にみんな辟易)とごたごたの挙句、階段でタバコを吸っていた父は脳卒中で倒れる。傷害事件の相手方へのぼったくり賠償金に悩んで右往左往してたのに、さらに莫大にかかる入院や手術の費用の手配をどうするのか!ここでも全て小美になんとかさせようとせっついたり、金持ちそうな隣人(①③)に甘えようとする母!!父を助けたいけど、自分になんとかできる額ではないし、このままブラックホールにお金を注ぐままでいいのか?小美。金持ちな隣人①③や、①の当時の彼氏・奇点などの機転により乗り越えるけど、このお金がなければほんとにどうなってたのか・・・・????かなり神経を消耗する後半エピソードです。なお、父はこのまま寝たきりになり、寝台カーみたいなのを借りて、みんなで送って行って実家に安置するけど、これはこれで継続的にお金がかかるイバラの道。さらに第二季ではとんでもない迷惑問題に発展します。
彼女のお相手は、学生時代から小美に憧れていて、上海で起業したことで頼られるようになって頑張っている王柏川(後に彼氏に昇格するも、ずっと苦労は絶えません。)。常に小美のために活躍しすぎて無理してるのに遠距離運転もしばしば。事故を起こさないかといつもヒヤヒヤさせられました。
この小美の実家問題、実家の人々や周りの人の質の悪さは相当なもので、今回はある程度「中国あるある」感を持って見れたけど、初見の時は衝撃的でした。
長くなったので、ほかの3人のエピソードは、次回に!