『人世間』を見ました♪ | 山楂(さんざし)の華流な日々

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2022年の中国ドラマ界で各種受賞の嵐だった雷佳音主演のドラマ『人世間』、2024年になってようやく視聴できました(2月上旬に視聴終了)。

 

詳しい説明や背景事情は、敬愛するmangoさんのブログに適うものなし!なので、リンクさせていただきます。

 

長編小説をもとにした人間ドラマ。ある一家を中心に50年くらいにわたる家族や友人その他の人間関係や市井の人々の生活を描くリアルかつ文学的なドラマという意味では『白鹿原』に似た感じ。時代はもう少し後、という意味では『山海情』に近い面もある。全部、名ドラマすぎる名ドラマ。

1969年(文革中)~2016年くらいまでが描かれています。

 

中国東北地方の古く貧しい集落で、ちょっと一目置かれている一家、周家の両親と三兄弟を中心に、家族や友達、周りの人々との人間関係や生活の不便、時代に伴う変化(文革の影響で地位が激しく上下してしまう層がいて周りの人たちもそのあおりを受けたり、仕事がなくなったり、家がなくなったり、家族が亡くなったり)に翻弄されつつ、愚直なまでに「好人」(いい人)であろうとする主人公一家。お父さんにがっちり筋が通った感じも『白鹿原』に通じるものがあります。

 

2000年過ぎても昔のままの集落で変わらない生活(水道やガスもない、不便な生活)をしてた地域の様子を見て、当時の北京や上海の様子を思い返すと、あまりの落差に驚きます。それでも少しずつ周辺地域は変わっていて、生活レベルや考え方も変わっていき・・・そんな環境の変化で変わる人間関係もあれば、変わらない家族や仲間の情もあり・・・

近所の人や友達との関係も、微妙に上下があったり、見栄を張りたい人がいたり。

盛りだくさんの人間ドラマ。

 

というようなものだろうと当初思って見始めたし、総括すればやはりそうなんだけど、しかし!思ったより衝撃的な出来事も多かった(以下、ネタバレしますのでご注意ください)。

 

わりと初っ端から、主人公が職場の同僚が殺人犯として処刑される現場を見学させられて気絶したり💦

その同僚の仲間と思われる謎の二人組につけ狙われて、処刑された同僚の妻(妊娠中)に、毎月生活費を届ける役割(お金は二人組が準備)を押し付けられ、その女性に一目ぼれ。

さらにはその女性の出産時に二人組と一緒に病院に行き、最初に赤ちゃんを抱っこさせられ、病院では父親扱い。

その後、二人組が逮捕・収監され、女性と赤ちゃん(+女性の老母と幼く目の見えない弟)の生活費を自分で用立てるために、家のお宝をこっそり持ち出して質入れして援助を続け、ついに女性と恋仲に。

すると、女性と処刑された同僚の子はそもそも結婚もしていないし、赤ちゃんは、実は、二人組のうちの一人(イケメンじゃない方)に女性が強姦されてできた子だと打ち明けられ💦

子持ちの寡婦との結婚に家族に反対されたりとかしつつも、子どもを自分の子として妻子を愛するよいパパに。

 

ところが子どもが中学生の頃に、事業で成功した子どもの実父が登場。刑務所時代の喧嘩が元で子どもができない体になり、唯一の跡継ぎとなる息子を引き取りたいとやってくる。どの面下げて?!これがなかなかしぶとくて。

思春期の子どもも、アメリカ留学させてくれるなどと言って食べたことのない西洋料理を食べさせてくれる金持ち父さんに少し揺れてしまう。でも、「母さんを悲しませないでくれ。」と言う主人公の言葉に思いとどまり、自力で奨学金を得て清華大学→アメリカ留学を実現させる。

その賢くて、親思いのよい息子が、アメリカから一時帰国する途中に強盗に遭い、撃たれて死亡←見ている私もお気に入り人物だったので、撃たれた時のショックは強烈。でも、主人公の実の息子もいるし、この子を実父にやるのも嫌だし、この役はここで終わりもやむを得ないかな、と思っていたら・・・

遺体を引き取りに行く妻を見送りに行った空港で、主人公が息子の実父と喧嘩になり(吹っ掛けてきたのはこいつの方。育ててもらった恩を忘れて「俺がしっかり金かけて安全に留学させてれば死んでなかった、息子が死んだのはお前のせい。」ってどういう思考回路?!)、もみ合いの末、息子の実父が頭を打って意識不明の重体に・・・で、逮捕されてしまう。←ここが最もビックリした事件。息子の死で悲しむ間もなく、逮捕されるとは。

そのまま相手は死亡し、傷害致死案件に。主人公を救うために愚直に奔走する妻。

そして、リアルな裁判シーン。←号泣必至。裁判官役は原作小説の筆者だったそう(mangoさんのブログより)。

それなのに、なんと懲役9年の実刑に!←重い・・・あの状況、そして情状酌量された感じからして重すぎる。日本の傷害致死罪は3年以上の懲役なので、9年はありうるけど、これは重い。

まさかの、刑務所入り。面会に応じる応じない、塀の中での気持ちの変化、中国での接見風景など見慣れないシーンも超リアルに展開。最後の最後にちょっと刑期が短縮されたけど、結局、8年間も塀の中

 

周家のお母さんが倒れて2年間意識不明の寝たきり(から奇跡の復活!)もあったり

両親が相次いで亡くなるシーンも胸を打つ。

 

全然内容を知らず、単なるヒューマンドラマだと思ってたので、こんなに生々しく事件が起きるとは思ってもみなかった。

何度も、あっ! えっ? と声を上げながら見ることになるとは。

でもその衝撃的な話が物語のムードを覆いつくすことはなく、いろんなことがありつつも日々の暮らしをどうにか続けていく登場人物の一人一人がとてもよくて(共感できない人物もいたけど)。

大ヒット、賞レース総なめなのもうなずける。

 

主人公・周秉昆(Zhou Bingkun)は、周家の三兄弟の末っ子で二男。優秀な兄姉と比べるとお勉強の出来は良くなく、ちょっと普通な子。あっという間に雷佳音に成長し、青年時代から最終回まで雷佳音。

↑ かわいい耳つき帽子の姿は青年期。

 

私は、まだ『長安二十四時』を見てなくて、雷佳音といえば真っ先に思い出すのは『我的前半生』(日本未上陸の現代ドラマ。これはフツーに上陸してきてもおかしくない作品だと前から思っている。中国あるある的なところより大人の恋愛(不倫や離婚も含む)や友情、生き方が描き出されていて日本人がフツーに見ても共感したり、理解したり一緒に悩んだり進んだりできるドラマだと思うし、出演俳優たちの演技もとんでもなく素晴らしいので。)の困った夫。でもこの時から、あまりにも自然すぎて、もう、腹が立つほどイライラさせられて、でもなんか憎めなくて、めちゃくちゃ注目だったのです。

今回、実年齢よりずいぶん若い18歳くらいからを演じてたけど、また、意外なほどに自然で。幼さの残る笑顔や母親とのやりとりなんかもかわいくて、うぶな恋も、とんでもなくリアルな告白や彼女に対する態度もグッときちゃう演技でした。

ときめくようなドラマではないんだけど、主人公カップルの愛や衝動を感じさせるシーンは二人の想いがあふれて、私のキュン♡センサーもめでたく反応!

 

この美しい女性が、孤児で、貧しい老母に育てられ、強姦された相手の子を産んだ、元薄幸の女性。

出てきた瞬間から、「うわ、きれいな人だ!どこかで見たことあるような・・・でも誰だっけ?」だった彼女は、かつてNHK日中合作ドラマ『蒼穹の昴』(2010年)で、私が憧れに憧れた、大好きだったミセス・チャンを演じていた殷桃でした。その後、なかなかドラマなどで見かけることがなく、こんなところでまさかの再会!(『人世間』では、もう一人『蒼穹の昴』の美人に再会。梁文秀の妻役だった徐百慧が、秉昆の仲間の妻・于虹役で。こちらはすぐ誰だかわかりました。ちょっと硬い感じが昔の常盤貴子に似てる気がしてわりと好き。)

 

話は、殷桃に戻り、今回の郑娟(Zheng Juan)役も素晴らしかった。『蒼穹の昴』の時は、私も演技がどうとか考えてなかったけど、今回のこの役は難しかったと思うし、でも美人すぎても素直で心優しく、学はなくても、大切なものが何かきちんとわかっている、愛情深くて芯の通った女性を好演していました。

 

まだ結婚する前に、昏睡した周家のお母さんの介護をすべて担い、ただ寝たきりのお世話をするだけじゃなくて、目覚めた時に動けるように毎日のマッサージまで、自分の手がボロボロになっても2年間続けたり、と、誰にも真似できない献身を見せてくれた女性。

とにかく秉昆への感謝と愛が深くて、このカップルすごくよかった。

秉昆の不倫疑惑のところは、だいぶハラハラしたけど(蘇る『我的前半生』の記憶)、毅然と対応。

秉昆の服役中も、幼い息子を抱えて一人で必死に生き抜き、か弱く不幸な女性から、愛と家族を守る強さを発揮していく姿が、つらくても苦しくても眩しかった。

 

このほかに特に好きだったのは、周家のお母さん✨

文字も読めない田舎のお母さんだけど、ものすごく愛情深くて母らしい人、その上お父さんを大好きなところがとってもチャーミングで。お父さんとのラストシーンも泣けました。この両親夫婦も大好き。

 

あと、アメリカで強盗に殺されちゃった息子・喃喃も、母を想う気持ちも、さわやかな恋も好感が持てて、死んでほしくなかったな。しかし、実父役があんなに顔長・顔デカなのに、なんでこの子?むしろ雷佳音の子と言った方が自然な感じの容貌でした。

↑ 賢く心優しかった息子・喃喃

 

↑ 息子の訳あり実父。顔デカ。

 

周家の兄姉の恋愛・結婚模様もいろいろあり、友人たちの方もいろいろあり・・・。俳優さんについても気になったことや言いたいことはいっぱいで果てしないので、切り上げて。

もう1人だけ日本人にもおなじみの人を挙げておくと、慶余年で滕梓荆を演じていた王阳が周家の長女(秉昆の姉)を慕う男性・蔡晓光として出ていて、かなり高感度の高い人物でした。

 

 

このドラマ、少年期→青年期で俳優が変わるときに容貌が似てる感はあまり重視していないようで、この蔡晓光は、かなりイケメンに成長、周家の長男(秉昆の兄)は全くテイストの違う顔になり、落差に驚きました。主人公の秉昆もかなりテイストは違ってたけど、兄ほどの驚きはナシ。

 

語り尽くせぬ人間ドラマ、『人世間』でした。時間があれば、もう一度ゆっくり味わいたい(でもつらいシーンが・・・)。

 

ラストシーンはこちら↓

来世も一緒になろう、って。二人の絆の強さが心地よい。

 

こちらは主題歌ですが、ドラマの雰囲気が味わえます♪

 
なお、ドラマはYoutubeでは見ることができません。
雷佳音の写真を載せた「人世間」というドラマがありますが、別ドラマなのでご注意ください(うっかり10話くらい見てしまった)。