迷子の猫は帰れない 続 | 商船裏方日記

商船裏方日記

船の世界に入って数年。
失敗珍談は数知れず、それでもめげずにひたすら前進を続ける中年です。
そんな世界を中心に裏話を含めて紹介して行きます。

前回からの続き


猫は縄張り意識が非常に強い生き物で、迷って他の猫の縄張りに入ると追い立てられます。
その追い立てられた先で更に別の縄張りに入る…
こうして迷子の猫は帰れない、と言う説が有ったりします。



もう今でこそ慣れたので、ありませんが、実は前回私が船で共通して経験した事とはこの迷子…。
それも激しく迷子になった事です。


どれもきっかけは同じです。
あれ?この階段だったかな…?


船の中て、まさしく鉄の世界。同じ様な風景なんです。
で、大体階段で気付くんですね。


あれ…?長いな…。
とか
うーむ…さっきはこんな階段無かったぞ…
とかですね。


それだけならただの迷子なんですが、ここでおかしな事が起きるんですね。


もと来た道を戻れば良いのです。
ホントは…。


それをついつい(もう少し昇れば合流すんじゃないかしら)とか、(さっきここを通った気がする)とか無理矢理意地張ってですね、荷場所に出たり、船底行き止まりに出たり、舳先に出た事もありますね。
波がざぱーん!てなってる。


で、「…はい。素直に認めますよ…。迷子になったな、て。」

で戻ろうとするんですが、そんな時に限って、Visiterカードが手元に無い。
…さっきブリッジに置いてきたんだっけ…



急に後ろめたさが込み上げます。
ウロウロ歩いててクルーに会えば、パーペキに怪しまれる場所です。


で、そん時に限ってチラッとクルーが行きたい先に居るんです。
慌てて向き変えて曲がってドア開けたらまた荷場だったり…


今は老人ですが、その時は、ああ私は迷子の子猫ちゃん、等とほざいてました。



酷い時は、自動車運搬船で荷物場に出てしまい、荷易のスタッフに見つかって、半怒りの監督の指示でリードカー(自動車を船に乗せるのに先導する車)に乗せられて降りた事あります。

とおーい昔の事じゃった。