昨年9月ティギスト・アセファ(エチオピア)が叩き出した2時間11分53秒という女子マラソンの概念を超えた大記録は、それこそ永遠に不滅かとも思われたが、また一人宇宙人がいた。 

13日に行なわれたシカゴマラソンでケニアのルース・チェプンゲティッチが何と2時間9分56秒という信じがたい記録を叩き出した。 

 

もう理解が追い付かない。 

 

確かにアセファの記録を破るために男子のペースメーカーを配していたが、そのペースメーカーに速度を上げるように伝え、ハーフ1時間4分台。 

 

折り返し後もそのペースが落ちなかった。 

 

2時間9分56秒というタイムがいかに異次元であることは、以下のラップタイムが示している。 

 

0~10km:30分14秒 

10~20Km:30分37秒 

20~30Km:30分58秒 

30~40Km:31分22秒 

40~ゴール:6分45秒 

 

チェプンゲティッチも当然ナイキの厚底装着だが、もはやツール云々の問題ではないタイム。

 

日本の上位4人をリレー形式で対峙させても勝てない速さだ。 

 

仮に時計の針を60年戻すと当時の男子マラソンの世界記録をも凌駕する。 

 

日本マラソン史上最強で最も偉大なランナー瀬古利彦の福岡国際マラソン優勝レベルタイムを女子が叩き出すとは・・・。 

 

2019年のコスゲイの世界記録から完全にバイアスが外れた。 

 

それにしても信じられない。 

 

恥の上塗り覚悟でもう一度書く。 

 

「チェプンゲティッチは宇宙人。この記録は流石に向こう10年間は破られない」 

 

ただAIトレやシューズの進化。第二第三の宇宙人が現れるのか。 

 

とにかく女子マラソン界に恐ろしいことが起きている。 

 

 

2日間で20500人の観衆を集めた有明アリーナ興行7大世界戦+那須川天心 

 

この前代未聞の興行を振り返る。 

 

【番狂わせ連発】 

一番の驚きは井上拓真が堤聖也に敗れた事。 

 

技術では数段上回っている拓真。 

 

事実1Rは完璧にペースを奪いマウントを取った。 

 

堤の繰り出すパンチも卓越した防御技術を見せ、被弾を防ぐ。 

 

ただレベルの高さを承認させたい拓真は、ロープを背にしながらも例のL字と目と上体の動きで躱す。 

 

堤は当たらなくとも手数を止める気は更々なし。 

 

結果これで堤を乗せてしまった。終盤逆転を狙い前へ出たが時すでに遅し。 

 

堤は煌びやかなエリート街道とは無縁の選手だったが、ここ一番の戦いに勝利した。 

 

泥臭く変則も総動員しての世界戴冠は、あの輪島功一にも通じる「根性勝ち」

 

自称「究極のバッタもの」輪島も言うように「己を知った者は強い」

 

逆に拓真は自分をより大きく、華麗に見せようとして失敗した。

 

続く番狂わせは田中恒成の王座陥落。 

 

相手のブメレレ・カフはアフリカンらしくスピードは有るが、正直怖さはなく耐久性にも欠ける。 

 

田中のスピードを活かした戦いで音を上げるかと思っていたが、例の5R右カウンターで痛恨のダウン。 

 

結果これが全て。 

カフも勝利がチラついていたので、田中の猛烈な追い上げにも耐えられた。 

 

拓真と田中。敗戦直後だけに進退の明言はないが、戦法次第でリベンジは十分可能(特に田中) 

カフ戦でも井岡との敗戦から学んだ?使える防御技術(ダッキング)など光るものも充分に有った。前へ出ながら躱せるこの技術は大きな武器となる。 

 

 

この興行の各賞。 

 

MVP:中谷潤人 

文句なし。 

統一戦可能性が低ければ、スーパーバンタム級転向一択。 

 

殊勲:堤聖也 

今年のJBC年間でも有力。 

 

敢闘:ブメレレ・カフ 

ハートの弱いアフリカンの汚名返上。 

 

技能:寺地拳四朗 

原点回帰、あの拳四朗が帰って来た。 

 

最高試合:堤聖也VS井上拓真 

これもJBC年間最高試合候補の一つ。 

 

中谷潤人の強さが際立った興行だったが、那須川天心の集客面の貢献は大きい。 

 

会場に小中学生の声援が飛ぶ。 

 

入場でも試合後のインタビューでも観客を沸かせる那須川。 

 

来年の世界戦は大箱(ドーム)で勝負をかけて欲しい。 

今回の相手はなかなか骨があった。この相手との10回戦は経験となる。 

 

欲を言えばカウンター主体に加え、前へ出て倒しきる所も見てみたい。 

 

 

 

有明アリーナ興行2日目3大世界戦+那須川天心観戦へ 

 

【WBO世界フライ級タイトルマッチ アンソニー・オラスクアガVSジョナサン・ゴンサレス】 

個人的には予想が難しいカードで楽しみだったが、何と1R偶然のバッティングでノーデシジョンとなってしまった。 

 

ただオラスクアガは自身の距離を早くもキープ。 

 

パワーの差もかなり感じられたので、KOの予感が漂っていた。 

再戦?オラスクアガが倒しそうだ。 

 

 

【WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ田中恒成VSプメレレ・カフ】 

序盤田中の出来は悪くなかった。 

速い左を放ち、右も入れた。 

 

またカフの弱点のボディーにも狙いを定めていた。 

 

ただ5Rこの一発が全てを狂わせた。 

カフの右カウンターを浴び、まさかのダウンを喫する田中。 

 

6、8、9Rと焦って出る田中へカウンターを放ちポイントを奪うカフ。 

 

10Rは田中もハートの強さを発揮、カフのボディーに連打を集めポイントを奪う。 

 

ただリード確信しているカフもガード固め、打ち返すというパターンを捨てない。 

 

11Rもカフがポイントを奪い勝負を決定付ける。 

 

最終12R田中も意地を見せ、カフをロープへ追いやり連打でポイント奪うが、僅かに届かず。 

2-1(114-113X2名、113-114)でカフが番狂わせの王座獲得(私採点は114-113でカフ) 

 

田中はクロスレンジでもダックでパンチを躱し、接近戦を挑むなど防御面も冴えていたが、右カウンターを食らいダウン負け。 

 

正直カフは打たれ脆く狙い目王者だが、敵地で諦めずに戦い抜いたことは称賛に値する。 

 

ただ数回肘打ちを見せていたのはね・・・。

 

 

【WBO-APバンタム級王座決定戦 那須川天心VSジェルウイン・アシロ】 

 

那須川の相手アシロはサウスポー那須川へ踏み込み右を叩きつける思い切りの良さが有った。 

 

強引な攻めに珍しくよけ損ねるシーンも有ったが、冷静にさばいた那須川の完勝。 

那須川は冷静にカウンターを決め、アシロの弱点(ボディー)を狙うシーンも多かった。 

 

また相変わらず静から動への動きは速い。 

 

採点的には幸甚なダウンも奪い大差。私の採点は99-90 

 

フルに10R戦ったことは良い経験。 

いよいよ来年世界へ挑む那須川。ボクシング界の救世主の活躍に期待したい。 

 

【WBC世界バンタム級タイトルマッチ中谷潤人VS ペッチ・ソーチッパタナ】 

中谷が盤石のKO防衛。 

 

76勝(52KO)1敗の世界1位選手に何もさせなかった。 

 

サウスポー同士の対決だが、スピードが段違い。 

 

また右の使い方もレベルが違った。 

 

ペッチは4Rにジャッジ一人の支持を受けた(多分)以外は、ポイントを挙げることなく完敗。 

 

中谷はクロスレンジでは右アッパーダブル、トリプル。 

 

左同士対決のセオリーの右を巧く使う。 

そして左の長距離砲を当てたら全てが終わるという予感のまま試合を進め、 予感通り6R左からの連打でダウン。

 

最後もライフルの様な左をミートし、試合を終わらせた(6R2:59TKO) 

 

中谷のパンチのタイミングは並のボクサーとは違うタイミング、角度で飛んでくる。 

 

巧く下半身のバネを使いタイミングを変えている。 

 

ただでさえパワーのある左。相手からするとたまらないだろう。 

もうバンタムでは敵はいない。 

 

(マッチメイクの関係も有り)統一戦を受けてくれる対抗王者もいないと思われる。 

 

来年、遂に日本拳闘史上最高のカード実現か?