クフ王のピラミッドには、女王の間と王の間の南北に細い通気口が設けられています。
一般にはピラミッドは埋葬施設とされていますが、古代エジプト人はこの構造に多くの象徴的な意味や願いを込めたと考えられます。
まず、女王の間の通気口は外界に開いていません。
そのため研究者の間では、これらは換気のためではなく、**「魂の通路」**として設計されたと解釈されています。
女王の間の南側の通気口は、シリウスを正確に指すといわれています。
古代エジプト人はシリウスを非常に崇拝していました。
シリウスはナイル川の氾濫の直前に出現する星であり、氾濫はエジプトの生命の源でした。
雨のほとんど降らないエジプトでは、ナイルの増水こそが再生と豊穣の象徴だったのです。
イシス
女王の間をイシスの象徴と捉えると、シリウスとの結びつきはさらに明確になります。
イシスは再生の女神であり、シリウス(ソティス)はその星として崇拝されていました。
一方、女王の間の北側の通気口は**周極星(不滅の星々)**の方向を向いています。
周極星とは一年を通じて沈まない星であり、永遠に天を巡り続けることから、不滅・永遠の象徴とされました。
その絶え間ない回転運動は、再生と循環の象徴でもあったと考えられます。
オリオン座
オリオン座
王の間の南側の通気口は、オリオン座を正確に指しています。
『死者の書』にも記されているように、ファラオは死後オリオンへ昇ると信じられていました。
つまり王の間から伸びるシャフトは、王の魂がオリオンへ向かうための通路だったのです。
オリオン座は太陽の船とも結びつき、
ファラオの霊魂はこの船に乗って冥界から現世へと再生の巡行を行うと考えられました。
オシリス(ファラオ)
王の間の北側の通気口も周極星を指しており、
その永遠の循環は再生の象徴として重要な意味を持っていました。
さらに、これらの通気口が形成するV字構造は、
頂点に位置する王の間と、下方にある女王の間を**「身体の中心=股」**として象徴的に結びつけ、
そこから再生のエネルギーが生まれ出ると解釈することもできます。
このように、クフ王のピラミッドは単なる墓ではなく、
**冥界からの再生と復活を実現するための“宇宙的装置”**として設計されていたと考えられます。
※ ピラミッドの内部の図は「河江肖剰の古代エジプト」から引用




