秋田県の伊勢堂岱遺跡には「日時計状組石」のすぐ隣にも、これまでほとんど注目されてこなかった組石が存在します。写真で確認できる機会は極めて少なく、その造形が何を表現しているのか、研究上ほとんど解明されていません。しかし私は、この組石が縄文時代後期の人々にとって非常に重要な意味を持つ造形であると考えています。

 

 

 

この組石は、向かって左側が円形、右側が弓状の形を示し、弓状の上部はふくらみを持つため円形にも見えます。造形の意図が弱ければ破壊されていた可能性もあるため、これらの形は強い祈念を込めて築かれたものと捉えられます。また、すぐ隣に日時計状組石が配置されていることから、この組石も墓域や祭祀と深い関係を持つと推測されます。

 

組石は発見された当時と時間が経過して草などが生えたりするとイメージが違ってきたりもしますからいろいろな方向から観察することが大切であると感じています。

私はこの造形を、左側の円形が 胎盤、右側の弓状の形が 胎児 を表現していると考えています。現代では胎盤を見る機会はほとんどありませんが、古代では出産時に胎児とともに排出される胎盤を目にすることが多く、その重要性を強く認識していたはずです。

 

 

また左の円形と右の弓状の形で胎児であると想像しています。

 

縄文時代後期は寒冷化が進み、人口減少が著しく、母胎や胎児の死亡率も高かったといわれています。そのような時代背景の中で、この組石は 安産祈願 や、この世に生まれることができなかった胎児、あるいは 出産後に亡くなった母胎 を供養するために造られた可能性が高いと考えています。

 

日時計状組石

 

この未解読の組石は、縄文人の生命観・再生観を象徴する重要な造形であり、日時計状組石とともに祭祀体系の一部を構成していたと推測されます。