弥生時代の甕棺(かめかん)の形態について、改めて考察を試みたいと思います。

以前は、甕棺の形が「さなぎ」の形態に由来する可能性を中心に検討してきましたが、今回は別の視点からその象徴性を探りたいと考えています。

吉野ヶ里遺跡の石棺の蓋の裏面には、無数の✖印が刻まれています。

 

 

この✖印の意味については諸説が存在するものの、確定的な解釈には至っていません。

私は、この✖印が古代エジプトで崇拝されたオリオン座の象徴形に由来する可能性があると考えています。

オリオン座は冥界、すなわち死後の世界を象徴する星座として知られています。

その星の配置は長方形を基調とし、対角線を引くと✖の形が浮かび上がります。

 

 

出雲地方に見られる四隅突出型墳丘墓も、長方形に対角線を加えた✖の構造として理解することができます。

 

 

吉野ヶ里の石棺蓋に刻まれた✖印は対角線ではなく小さなの連続ですが、象徴としての意味は近いものがあると考えられます。

死後の魂が星となるという観念が存在した可能性もあり、その象徴としてが用いられたとも解釈できます。

 

 

 

古代エジプトの墓にも✖印が多く見られることから、両者は象徴的に響き合っているように思われます。

また、オリオン座は長方形に見えますが、上方の星メイサ(Meissa)と、うさぎ座で最も明るい星アーネブ(α Leporis)を結ぶと、甕棺に似た六角形の形が浮かび上がります。

 

 

古代エジプトでは現在の星座体系とは異なる星の認識があったため、うさぎ座という概念は存在しなかったと考えられますが、アーネブは非常に明るい星であるため、個別の星として強く意識されていた可能性は十分にあります。

さらに、オリオン座の中央に位置する三ツ星は斜めに横たわっています。

興味深いことに、甕棺も真横ではなく斜めに埋葬されています。

 

冥界の神オシリスは死と再生を象徴し、甕棺も死を包む器としてその象徴性と深く共鳴します。

加えて、さなぎは幼虫から変容し、羽化して空へ飛び立つ存在であり、再生・復活・変容の象徴でもあります。

さなぎが枝に斜めに付着することが多い点も、オリオン座の斜めの三ツ星と響き合うように感じられます。

 

以上の点を踏まえると、オリオン座の六角形的構造と、さなぎが象徴する再生のイメージが重なり合い、弥生人は甕棺をこのような形に作り、斜めに埋葬したのではないかと考えられます。

 

※ オリオン座の図はウィキぺェデアから引用