星座は見方によってさまざまな形に見えます。現在一般に用いられている星座の形は古代ギリシャで体系化されたものですが、他の古代文明では異なる形や意味が与えられていました。

 

うさぎ座の星アーネブ(α Leporis)をオリオン座と結ぶと六角形(下の図)が現れます。

私は、このオリオン座の六角形が古代人にとって“船”を象徴する形であったと考えています。

 

 

一般的なオリオン座(鼓星)に見られる二つの三角形(下の図)も太陽の船として理解され、太陽神ラーが昼に天空を進む船「マデント(昼の船)」、夜に冥界を航行する船「メセクト(夜の船)」として捉えられていたと思われます。六角形もまた、太陽の船そのものを象徴する形と見ることができます。

 

二艘の太陽の船

 

古代エジプトのファラオの棺では、胸の上で両腕を✖に交差させますが、オリオン座の六角形の中心にも✖の形が表れています。

これは、死者(✖)を乗せて冥界と現世を巡行する“船”の象徴であり、✖は女性性と男性性の融合を示す形でもあります。

この融合から、再生・復活・変容のエネルギーが放たれるのです。

 

ファラオの棺

 

 

長方形の対角線が描く✖は、長方形を“棺”と見立てる象徴とも重なります。

吉村作治先生のチームが発掘した太陽の船にも長方形の箱型構造が載せられており、これはファラオの棺を置く部分であると考えられます。

また、櫂が10本、✖の形に組まれている点も象徴的です。

 

太陽の船

 

太陽の船の前方に立つ柱状の構造物は、上部が円形に広がり、ロータス(睡蓮)の花のような形をしています。

これはトーラス構造を思わせ、柱が中心軸を表し、再生・復活・変容を象徴する形態と見ることができます。

実際、エジプト建築の柱頭にはロータスの意匠が多く施されています

 

ロータスをかたどった柱

 

こうした象徴を総合すると、オリオン座の“船”にファラオのミイラが乗せられ、天空と冥界を巡り、現世へと再生するための重要な形が表現されていると考えられます。