クフ王のピラミッドには、地下の間・女王の間・王の間という三つの主要な空間があります。これらはピラミッドの中心軸上に配置されており、全体を貫く“柱”のような構造を形成しています。古代エジプトでジェド柱が「ファラオの背骨」と呼ばれ、王が立ち上がる姿を象徴したことを考えると、この三つの間もまた、王の生命力と宇宙軸を表現していると考えられます。

 

 

王の間の上には五重構造の空間が積み重ねられています。この位置は、天空のオリオン座における小三ツ星とほぼ一致しており、小三ツ星がファラオ(王)を象徴していた可能性が高いと考えられます。横たわる三ツ星が、ピラミッドの内部で“立ち上がった姿”として再構成されているとも言えるでしょう。

 

 

通常であれば三ツ星に対応する三重構造の方が自然ですが、あえて五重構造にした理由はどこにあるのでしょうか。

小三ツ星は「暗い星が三つ並ぶ」とされますが、中央の星は実際には星ではなくオリオン大星雲(M42)であり、その内部には四つの明るい星(トラペジウム星団)が存在します。M42は星が生まれる場所であり、古代人がその物理的意味を理解していたとは考えにくいものの、星を魂・霊魂・神霊と捉える文化においては、そこが“再生・復活の場”として直観的に感じられた可能性があります。

 

 

 

 

古代の空は澄み、観察者の視力も優れていたため、小三ツ星が三つではなく四つ以上に見えたことも十分に考えられます。実際、ガリレオ・ガリレイは小三ツ星の位置に「六つの星」を描き残しています。

 

そのため、王の間の上に四つの空間を置き、さらに最上部に三角形の切妻構造を加えて五つの層としたのは、小三ツ星の“増殖した姿”を象徴的に表現したものとも考えられます。

 

 

現代の研究者は、この五重構造を「荷重軽減のため」と説明しますが、私はオリオン座の星々を結んだときに現れる五角形の形(下の図)を意識した可能性もあると考えています。五角形(上の図、青〇足首、茶〇膝、黄〇股)は人間が両脚を開いた姿に対応し、生命の源、エネルギーの噴出点を象徴します。

 

オリオン座五角形

 

女王の間も五角形の形を持ち、女性器を象徴する“股”の構造と捉えることができます。王の間の五角形は男性器の象徴とも重なり、ピラミッド内部に男女原理が対として配置されていることになります。

 

古代エジプト人は、オリオン座の五角形・三ツ星・小三ツ星を、男性性・女性性・ジェド柱(背骨)と重ね合わせ、クフ王のピラミッドの王の間に宇宙的な再生の構造を表現したのだと思われます。