「勉強できる力」VS「考える力」[金曜日担当:管野] | 教育研究所ARCS - 独断的教育論 -

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教育現場のプロ3人衆による本音トーク

勉強はできる(成績は良い)けど、考える力のない子。

勉強(成績)はイマイチだけど考える力のある子。


一体どちらが望ましいと言えるでしょう?



もちろん両方とも優れているのが理想です。しかしこの2つは案外両立しないことが多いのです。


一般には、勉強のできる子は考える力もあると思われがちですが、それはある一定の制限された世界でのことに過ぎません。


どういうことでしょうか。

こういう子を想像してみて下さい。

小さい頃から素直で聞き分けの良い子どもです。



こういう子は、親や周囲の大人の言いつけをよく聞きホメられることでさらに「良い子」に磨きをかけます。
そのうち、大人たちが望んでいるであろう行動や態度、言葉づかいを先回りして察知し、その通りふるまうようになります。


やがて学校に入ると、こういう子は先生の望むような言動をするようになります。



先生の顔色を読み、先生が好ましいと思う態度をとり、先生が答えて欲しい「正解」を答え、決してルール破りをせず「期待に応え」よう努めます。



彼らも時には失敗します。

忘れモノをした、遅刻した、テストで間違えがあった…。



そういう時彼らは期待に応えられなかったという、みじめな思いにかられ、恥ずかしく感じ、自分を責めます。
 そして同じ失敗をしないように努力します。


だから概して彼らは成績の良い子になります。


彼らの特徴は、失敗を恐れる気持ちが強く、そのため正しい答えを追い求める所にあります。



世の中には「正しい答え」「正しいあり方」「正しい行動」があると信じるようになるのです。



こういう考え方は実はきゅうくつで、自分を苦しめる原因となるものですが、こと勉強面では有利に働きます。


なぜなら学校、特に小中学校で教わる勉強は基本的に「答えのある」勉強に限定されているからです。 

 まず、正解(正しい答え)というものがありそれを導くために、アレとコレという導き方を覚える。



あえて簡略化するなら、ここで必要な能力は「考える力」ではなく類型化(パターン化)と記憶力です。そして、勉強できる=成績が良い=テストの点が高いが前提である以上、一定時間内に正解にたどりつける力つまりスピードも必要になります。

従って

パターン化能力+記憶力+スピード=学校秀才

ということになります。


ところが「考える力」は、ある意味これと逆になります。

考える力=疑問+プロセス+直観

だから。


勉強のできる(テストの点の良い)子にとって、疑問はジャマ者以外の何物でもありません。
  「これはこう解く」「アレはああ解く」と決まっている以上、それに従うことが正しいことだからです。


「どうしてそうなるのか?」「別の解答や方法もあるのではないか」


そういう疑問の入りこむ余地はあまりないのです。



しかし考える力は、疑問をもつ能力と等しいと言っても良いくらい大切な要素です。



たとえばアインシュタインの偉大さは、それまでの常識であったニュートン力学を疑った点にあります。
 科学や学問に限りません。


あらゆる進歩進化は、それまでの常識(正しいとされてきたこと)を疑うことから始まります。



一方学校秀才(良い子)は、始めから一定の正解とそこにたどり着く一定方法という狭い枠組みの中でしか考えようとしない傾向があります。



そもそも正しい答えがある、正解があるという範囲(ルール)の中にいるからこそ秀才(良い子)でいられるわけで、その枠(ルール)を認めない者は既に秀才の資格はないわけです。



そして「考える力」のもう一つの要素は、いったん疑問をもったらどこまでもそれを追究していくプロセスを粘り強く踏んでいく能力です。



いったん疑問に思ったら、立ち止まりあらゆる可能性について考え試していく者こそ最終的に実り多い成果をあげることができるのです。



これは時間がかかります。
 1つの問題をじっくり多角的に検討する性質は、学校のテストや入試では不利に働くでしょう。



直観力も大切です。
 大きな仕事を成す人は例外なく「直観力」に優れています。


疑問をもち様々な可能性を多角的に検討する粘り強さと、物事の本質にズバリと切り込む直観力。


アインシュタインも16歳のとき、光に乗って光を追いかけたら、その光はどう見えるかという疑問をもちましたが、その疑問自体が「何がもっとも大切であるか」を鋭く直観していたことを示しています。

ちなみにアインシュタインも学校の成績は芳しくなかったらしい。
少なくとも秀才というには程遠い存在だったことは確かです。


誰もがアインシュタインになれるわけではありません。


しかし、社会に出てから問われるのは限定された枠内での決まりきった正解ではなく、柔軟で応用のきくアイデア、新しい価値観を創造する「考える力」の方ではないでしょうか。



そう考えると、私たち親や教育関係者は子どもたちを「大人にとって都合の良い子」「疑問をもたず、それ故に勉強ができてしまう」学校秀才に育て上げようとしていないか。
一度我が身をふり返って見る必要があるのではないでしょうか。

 

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