現代の荒波を生き抜くための確率②[水曜日担当:池村] | 教育研究所ARCS - 独断的教育論 -

教育研究所ARCS - 独断的教育論 -

教育現場のプロ3人衆による本音トーク

前回に引き続き、確率のお話です。
先週の最後に出題したお題は考えてもらえたでしょうか?

問題
コイントスで表(オモテ)が出たら1ポイントもらえ、裏が出たらポイントなし、というゲームを何回かやります。やった回数の半分以上のポイントを獲得できたら、賞金100万円をゲットできます。ちなみにゲーム回数はあなたが自由に決めてよいものとします。
例えば、10ゲーム行うと決めたら、コイントス10回中5回以上オモテを出したらチャレンジ成功で100万円ゲット。15ゲーム行うと決めた場合は、コイントス15回中8回以上オモテを出したらやはりチャレンジ成功で賞金はあなたのものです。
では、ゲーム回数を何回に設定したときが、もっとも賞金をゲット出来る可能性が高くなるでしょうか?(コインの表裏は、ともに2分の1の確率で出るものとします)

こういう類の問いは、まず具体的に手を動かしてみることが肝心です。
例えば1回のとき、2回のとき、3回のとき…というように書き出していき、その過程や結果から法則性を見出していくのがよいでしょう。

では実際にやってみます。コイントスのゲーム回数をnとします。

n=1のとき、この1回で表を出さなければならないので、その確率はです。

n=2のとき、このあたりからしっかり整理の仕方を決めて数えます。
今回は考えられる場合の数を、オモテ(○と表記、ウラは×と表記)の数ごとに整理します。 

  オモテが0回のとき、××:1通り
  オモテが1回のとき、○×,×○:2通り
  オモテが2回のとき、○○:1通り
等しく起こりうる4通りの可能性のうち、賞金を得られるのは3通りなので、確率はです。思ったよりも高い確率ですね。


次は同様にn=3のときを考えましょう。 

  オモテが0回のとき、×××:1通り
  オモテが1回のとき、○××,×○×,××○:3通り
  オモテが2回のとき、×○○,○×○,○○×:3通り
  オモテが3回のとき、○○○:1通り
 このようになり、賞金を得られるのはオモテが2回以上出たときなので、確率はとなります。

ここまでの解説で全貌が見えた人は、かなりのツワモノです。
とりあえず、あとn=4のときとn=5のときを見てみましょう。

n=4のとき、
  オモテが0回のとき、××××:1通り
  オモテが1回のとき、○×××など:4通り
  オモテが2回のとき、○○××など:6通り
  オモテが3回のとき、○○○×など:4通り
  オモテが4回のとき、○○○○:1通り

まず、このときを例に分析してみましょう。
なんとなく気付いていたと思いますが、nが偶数のときは分類の種類が奇数個になります(上記のようにn=4ならオモテが0~4まで考えられるから)。

さらに、真ん中(上の例ではオモテが2回のとき)を境にして、考えられる場合の数は上下対称(14641という並び)になっています。

これは当たり前と言えば当たり前です。なぜなら、例えば「4回中オモテが1回出る」というのは「4回中ウラが1回出るのと同じ数、すなわち4回中オモテが3回出るのと同じ数」だからです。 

そうすると、ど真ん中の「オモテが2回のとき」も含めて下半分が賞金をゲットできるパターンになるので、nが偶数回のときには確率はを若干上回ります。
 そして、そのど真ん中の場合が全体に占める割合が最も大きいケースがn=2のときになるのです。

最後にn=5のときを見てみましょう。
 
  オモテが0回のとき、×××××:1通り
  オモテが1回のとき、○××××など:5通り
  オモテが2回のとき、○○×××など:10通り
  オモテが3回のとき、○○○××など:10通り
  オモテが4回のとき、○○○○×:5通り
  オモテが5回のとき、○○○○○:1通り


そうです、nが奇数のときには分類の種類が偶数個になり、また上下対称の場合の数になることはこれまでと同じです。
そうすると、完全に下半分が賞金ゲットの対象(この場合オモテが3回以上)になるため、nが奇数のときには必ず確率はとなります。


まとめ
  ゲーム回数が奇数回の場合、賞金獲得確率は一律である。
  ゲーム回数が偶数回の場合、賞金獲得確率は必ずを上回るが、その中でも最も確率が高いのは、n=2のときのである。

 

実は、私は周囲の人にこの問いを投げかけ、直感的に答えてもらったのですが、多くの人が10~100回など多めの回数を選択しました。

あまりにもゲーム回数が少ないと、最初にウラを多く出してしまった場合に後で挽回しにくいから…と考えたようです。気持ちはわかりますね。
しかし、計算した結果は、皮肉にも回数の少ない「2回」ということになりました。

ちなみに、このブログを読んでくれている読者の一人であるK田さんは、いち早く「この問いの本質はパスカルの三角形だ」と気付いてくれていました。
上下対称の数の配置「1,2,1」「1,3,3,1」「1,4,6,4,1」「1,5,10,10,5,1」…のことです。
これはという式を展開したときに表れる係数の法則です。
興味がある人は、ぜひ調べてみて下さい。

あ、それから、前回お話した「サイコロ、おみくじ」の確率が63%ぐらいになるという件ですが、これは高校で学ぶ自然対数(eと表す)と関係があります。極限をとって考えてみると面白いですよ。

 

■□■□■□■□■□ イベント情報  ■□■□■□■□■□

『夫婦のための子育て法』

…母親のための教育講演、父親のための教育講演に続く教育講演会第3弾!

今回の講演では「夫婦のあり方が子どもの成長に大きく響く」という理論をもとに史上初めて「夫婦のタイプ別教育法」を公開し皆様の子育てに貢献したいと考えています。
是非ご夫婦でご参加下さい。シングルマザーの方にも参考になりますのでふるってご参加下さい。

日時:2014年9月21日(日)
   午後2時~4時(1時30分開場)

場所:ザ・クレストホテル柏 クレストルーム
講演者:管野 淳一 他

☆ 詳細はこちら ☆
http://arcs-edu.com/event.html

■□■□■□■□■□ PFメソッドカウンセリング ■□■□■□■□■□

「子供を変える前に、まず親が変わる ―Parents First― 」

こんなお悩みございませんか?

     
  • 子どもが不登校になってしまった
  •  
  • 受験のプレッシャーを強く感じている
  •  
  • 反抗期の子どもへの接し方がわからない

PFメソッドカウンセリングで解決しましょう!
 
親の態度、心理状態が与える子供への影響ってかなり大きいんです。
PFメソッドカウンセリングで原因を解明し、解決しましょう!

☆ 詳細はこちら ☆
  http://arcs-edu.com/counseling/