最近子育て本などで、「子どもはホメて伸ばせ」という記述が目につきます。
その影響からか、親の中にも子どもはなるべくほめて自信をつけさせるのが良いと考える人が増えています。
確かに子どもの欠点や不得意を責めたてたり、叱りつけたり何らかの報酬を約束するよりはホメることの方がポジティブな影響を与える気がします。
しかし、子どもをほめることにはいくつか注意しなくてはいけないポイントがあるのです。
そのポイントとは…
ポイントその1、 常にホメられているとかえって「やる気」を失う。
意外かも知れませんが、常にホメられ続けると一種の「ホメられ慣れ」が生じ、継続的なモチベーションアップを維持できないのです。
逆にめったにホメられないが、誰が見ても難しい問題に挑んで正解に到達したときや、たとえ正解できなくても一生懸命頑張ったときなどに思いっきりホメられると効果はバツグンなのです。
つまり一定の「負荷」を与え、それに耐えて何らかの成果に達したときに具体的にほめるのが良く、ただ何となく、やればできるとか才能があるとホメ続けるのは逆効果だということです。
ポイントその2、 ほめられた子は失敗を恐れるようになる。
「ほめて伸ばす」信奉者にはショッキングな実験結果があります。
1990年代の終わりに、コロンビア大学で「ほめる」ことについて大規模な実験研究が行われました。
人種も経済的背景も異なる10~12歳の子どもを400人以上集め、3つのグループに分けます。
全員に簡単な知能テストを受けてもらい、第1のグループには「こんなに解けたのは頭がいい証拠だ」と話し、第2のグループには何も言わない。
次の実験で、子どもたちに2つの課題の一つを選んでやるように指示します。
その際、1つは難しいので解けないかも知れないが、やりがいがあると話し、もう1つは易しくスラスラ解けるが学べることはあまりないと話します。
するとどうなるか?
最初に行った知能テストで「頭がいい」とほめられた第1グループの子どもたちの約65%が、簡単な方の課題を選んだのです。
それに対し、ほめられなかったグループで簡単な方を選んだのは45%。
つまり、頭がいいとホメられた子どもは困難に立ち向かうのを避ける傾向が強いということです。
注目すべきは次の実験です。
今度は全員に、最初よりもずっと難しい問題をやらせます。大半の子どもたちは出来ない問題です。
さて、テストの後で子どもたちにこの問題を家に持ち帰って続きをやる気があるかどうか訊ねます。
すると、頭がいいとホメられたグループは他のグループの子よりもYesが少なく、難しい問題を楽しめないことが判明。
そして最後に、もう一度テストをします。
今度は最初のと同じくらい簡単なテストにもかかわらず「頭がいい」とほめられたグループは何も言われなかったグループよりも、はるかに点数が低くなったというのです。
(最初のテストの時はどのグループも同じくらいの点数だった)
これはショッキングなデータです。
ホメられた子の方が点数が低い!!
というのですから…。
どういうことでしょうか?
少し長くなりますが、この実験を行ったクラウディア・ミューラーとキャロル・デュエックという2人の研究者の言葉を引用します。
『……頭がいいとほめられた子どもは、気分は良くなるが同時に失敗を恐れるようになる。成功しなかったら格好が悪いと考え、難しい問題への挑戦を避ける。しかも頭がいいと言われた場合、自分は頑張らなくても良くできると思いがちである。そのため必要な努力をしなくなり、結果として失敗する割合が高くなる。
そして不幸にして実際に悪い成績をとると、子どもは完全にやる気をなくし、無力感に襲われる。低い点数を目にして、自分は言われたほど頭がいいわけではない、自分には能力がないと思ってしまうのだ……』
私も経験しますが、大して勉強もしないのに成績はトップクラスで、親や先生からも「頭がいい」と常にほめられていた子が難関校に行き、それまでの成績を維持できなくなった時、急に自信を失くして挫折するケースがあります。
ポイント3、 結果よりもプロセス(努力)をほめろ。
先の実験の話には続きがあります。
頭がいいとほめられた第1のグループ。
何も言われなかった第2のグループ。
先ほどの話に出てこなかった第3のグループ。
そして実はこの第3のグループが一番良い効果が表れていたのです。
第3のグループもほめられていました。
しかし、第1のグループと違ってほめられたのは「頭の良さ(才能)」ではなくて、一生懸命努力したというその姿勢に対してであった。
ほめられ方の違いがその後の行動に大きな影響を与えていたのです。
結論から言うと、頭がいいとか才能があるというほめ方は「結果」を求めることにつながり困難な状況を避け、まじめな努力をせず簡単に挫折しやすい。
一方努力をほめることは、つまりその姿勢を問うことであり、むしろ困難に挑戦し結果を恐れず、失敗を恐れずそのプロセスを大切にすることになる。
必然的に成功の可能性は高まるということです。
事実第3のグループは、やさしい問題より難しい問題を選ぶ傾向が強く、最後のテストでも最も好成績をおさめたと言います。
“ほめて伸ばす”は美しい言葉ですが、以上のポイントを押さえた上で実行して頂けたらと思います。
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