英語を早くから習う必要はない [金曜日担当;管野] | 教育研究所ARCS - 独断的教育論 -

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教育現場のプロ3人衆による本音トーク


今日と次回のブログは過激な内容になります。

これから話す私の考えには相当の反発が予想されますが、それを覚悟の上で本音で語ってみたいと思っています。

テーマは英語教育についてです。特に最近その傾向が著しい早期英語教育について思っていることを述べてみたいと思います。


私は小学生、特に低学年からのさらには幼児段階での英語教育に反対です。

いや、反対という言葉では生ヌルい。
私は英語の早期教育には憎悪の念すら覚えるほど、筋金入りの反対論者です。



国際化時代と言われて既に久しい。

人は、国際人(この言葉自体意味不明ですが…)になるためには、今や公用語とも言うべき英語を勉強するのは当り前と思う人が多いようです。

英語の重要性を疑う人はあまりいないのではないでしょうか。

英語ぐらい話せないと社会で活躍できない!

そんな空気が日本中をおおっているかのようです。

ついには社内での会議は全て英語で行うという企業まであらわれる始末。



私は高校教師としてまた塾講師として、小学生から高校生に英語を教えて来ました。

学生時代のアルバイトも含めると、英語教師歴は優に35年を超えます。

ご存知のように長い間日本では、英語は中学1年生から学ぶことになっていました。

私自身の経験からいっても中学に行くと「英語」という新しい教科が増えることが、新鮮な気持ちをひき起こし、未知の教科へのあこがれや「やる気」のきっかけになっていたと感じています。



しかし、いつの頃からか小学生段階から塾などへ行って英語を習う子どもが増えて来ました。この傾向は年々加速されていきました。

既に20年ほど前には、中学に入った時点で何らかの形で英語を一度も習っていない生徒は少数派になっていたのです。

今では小学校でも英語が必修になっています。


その結果はどうなったのか?


早期教育の結果、英語の学力は伸びたのでしょうか。

英語を得意とする人たちの割合は増えたのでしょうか。

昔より英語を好きな生徒、得意な生徒は増え続けているのでしょうか




答えは……


全然そんなことはない!!

生徒たちの英語の学力は全く向上していません。

得意な生徒。英語好きな生徒は全く増えていません。

では、小学校で英語を導入する際の大きな動機となった英会話力は…?

全くついていません!!


それどころか、英語ギライ不得意という生徒が早期教育に比例してドンドン増えている

もちろん、これはあくまで現場での実感です。

長く英語を教えている者ほど痛切に感じている実感です。


全国的な統計をとったわけでも、科学的分析をしたわけでもありません。

20年、30年に渡って何千人もの生徒に英語を教えて来た我々ベテラン講師の現場での実感です。

アルファベットから大学入試の高度な英語に至るまで、生徒たちに「英語を教える」ことをなりわいとして四苦八苦して来た、我々英語教師の偽らざる実感です。

その原因や理由を問う前に、まずこの「事実」をしっかりと見つめて欲しい。

特に英語早期教育賛成論者の方々!


大事なことなのでもう一度くり返します。


英語がキラいな生徒、不得意な生徒は増えている!!

その傾向は
早期教育に比例して増えている。


これはどういうことか。

つまり英語を早くから習うということ自体が英語を苦手な生徒をつくっているということです。


まず、この冷厳たる事実と向き合うこと。

原因を探ったり分析するのは後で良い。

それについては次回で私も試みてみたいと思います。


最後にひとつ見逃されがちな事実をあげておきます。

英語も他の教科と同様、得意な子と不得意な子がいるということ。(英語が自分に合う子と、合わない子がいる)

もう一つは、これまた他の教科と同じく、教え方のうまい先生と下手な先生がいて、当然ながら、教え方のうまい先生に習う方が伸びやすいということ。

早くから学ぶのが良いとか悪いとかいう以前に、この当り前の現実をまず認識しておきたいですね。



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