塾の先生などをしていると、親からよく聞かれる話題というものがあります。
「ウチの子、勉強の仕方が分かってないのじゃないでしょうか?」
というのもその一つです。私も幾度となくこの言葉を聞いたものです。
ここで親の言いたいことは「ウチの子は机に向かっている割にはイマイチ成績が伸びない。これは、勉強のやり方が分かっていないからではないか!!」
だからどうか子どもに正しい勉強のやり方を伝授してやって欲しい。
そういうことなのでしょう。
さらに親の中に「ウチの子だって本当はやれば出来るはず。点が取れないのは“やり方”を知らないだけ。」という欲目があるのだと思います。
ここには何らかの結果を出すには「正しい方法」があるはずだという根強い考え方があります。
確かに「車の運転の仕方」とか「スマホの使い方」「ラーメンの作り方」のように、方法さえ分かれば誰でも一定の結果が出せるものはあります。そのための効率の良い方法というものはあるでしょう。
「ウチの子、勉強の仕方が分かっていないのでは?」という疑問も、当然「正しい勉強法が存在しているはず」ということを前提にしている点では同じ発想なのだと思います。
しかしそれは本当でしょうか。
万人に当てはまる「正しい勉強法」など存在しているのでしょうか。
私の答えは 存在していない です。
第一に子どもの学力の能力は様々で、性格もひとり一人違っています。ある子に有効な勉強の仕方が他の子には全く通用しないこともザラにあるし、「やる気にさせる言葉」ひとつ取っても効果のある子と逆効果になる子もいるからです。
いや、そもそも正しい勉強法という、先に「方法論ありき」の発想自体が、勉強が本来持っている醍醐味を殺してしまうもので、学力を伸ばすという点からはマイナスだからです。
ここでちょっと、私たちは「勉強」という行為を通じて何を得ているのか考えてみましょう。
単純に考えて、分からないことが分かる喜びと言っても良いでしょう。知識が増える喜びとも言えます。
私たち人間は知識を蓄積することで、いま現に見えないものさえ推測し想像する力を獲得して来ました。
そのことは他の諸生物と決定的に異なる点です。
私たちは、テキストを読んだり講義を聴いたり、自分で調べたりしながらやがてバラバラだった断片が意味あるつながりを持ったり、漠然としていた全体像が明らかになることに強い喜びを感じる種族なのです。
このように、真理(正解)に至る過程を試行錯誤しながらたどっていくことこそが勉強の最も大切な意味だと考えています。
ですから、正しい勉強法を求めることはこの貴重なプロセスをすっ飛ばして手っ取り早く「結果」だけ得ようとする行為だと言えます。
近年に特有の効率優先の発想なのです。
勉強の醍醐味は試行錯誤のプロセスとその果てにある達成感
。そこには当然失敗も含みます。失敗から学ぶ喜びもあるのです。
失敗を恐れて結果(正解)だけ手に入れようとする行為は勉強ではありません。
結局のところ、子どもたちに本当に学力をつけて欲しいのなら「正しい勉強法」という効率を押しつけるのではなく、勉強すること自体の面白さを知ってもらうしかない。
遠回りのように見えても、最終的にはこれが最も確実な道であると私は考えています。
明日17日は待望の「トークライブ」です。
事務方の話では何と300人以上の申し込みがあったとか…。嬉しい限りです。
思春期の子を持つお父さんお母さんたちのために少しでもお役に立てる話を…と身が引き締まる思いです。
今日のテーマについても何とかお伝えできればと思います。
■□■□■□■□■□ イベント情報 ■□■□■□■□■□
『思春期の子を持つ母親へ贈る「子育ての秘訣」』
「母親だからこそできる」
子どもへの適切な声がけ、励まし…
そして愛情の示し方!
今の時代にふさわしい母子のあり方を考えたい!
親子関係―特に母子のあり方―はひと昔前とは大きく変化しています。
今の子どもたちにはどのような接し方が有効なのか。
「反抗期にどう対処するか」「意欲的な子どもにするには」
「お母さんの知らない男の子の心理」「子どものタイプ別対応法」
「親の姿勢と子どもの成績の相関は」
このような観点から40年のキャリアを持つ管野がお話しします。
日時:6月8日(日)10:00~11:30
場所:アミュゼ柏(千葉県柏市柏6丁目2番22号)
イベント申込み締切日:2014年6月7日
http://arcs-edu.com/event.htm

