ここ数年、大学受験界隈がきな臭いのです。
指導要領改訂に伴う入試科目と受験科目パターンの変更、さらには、センター試験自体の存続自体も含めて、ここ数十年で最も大きな変動が訪れようとしています。わたしも現在進行形で高校生を教える塾講師ですから、この波に無関心ではいられません。そこで今回は、大学入試日程の口火を切る試験である「センター試験」について書いてみたいと思います。
センター試験はご存じの通り、国公立大学を受験する際に必要なマークシート式の試験です。国立大学の入試は、このセンター試験の得点と、その後にある各大学ごとの本試験の得点を合算した点数で競われることとなります。センター試験と本試験の違いとしてあげられるのはその“難易度”と“教科数”です。センター試験は問題が比較的易しい一方で、かなり多くの教科を受験することが求められます。特に、文系であれば「数学」「理科」、理系であれば「国語」「社会」など、自分の専門とは異なる科目を受験する必要があります。本試験は逆に、難易度は跳ね上がるものの、科目数は専門分野に絞られます。
このセンター試験、上に述べたように、一般的には「比較的易しい」と考えられています。本試験が記述中心の難問であることから考えれば、マークシート式で基本的な知識を問うセンターは確かに簡単だといえます。
しかし、上位の大学を受験する場合、センターは決して侮れないのです。
上位の大学を受験する生徒のほとんどは成績優秀者が多く、必然的に得点率は上がる傾向にあります。すると、「易しい試験」は逆に「絶対に点数を落とせない試験」に変わってしまうのです。
一問ミスをしただけでもライバルと大きく差が開いてしまうとなれば、受験する生徒の精神にかかるプレッシャーはいかほどのものでしょう。実際に毎年受験生を見ていても、センター試験を完璧にクリアできる生徒はほとんどいません。直前の模試や過去問演習で9割以上の得点をしていた生徒がいざふたを開けてみると6割台、というのはそう珍しいことではありません。
試験が終わった後、見直してみると、ミスをした3割の問題の中に「解く実力がなかった」と思える問題はほとんどなく、大体は小さな勘違いや焦りから来る問題内容の読み落としが原因です。
では、センターでは「なにが」問われているのでしょう? 簡単な、基本的な知識を問うているのでしょうか? それとも……。
この「なにが」に、センター試験の本質があるように思います。