日本経済の死角 | Archive Redo Blog

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DBエンジニアのあれこれ備忘録

 

 

日本では過去25年で生産性が30%も上がっているのに、実質賃金が横ばい。

 

日本経済の長期停滞を象徴的に表すこの事実を示したグラフに惹かれて久々に手に取った経済本。


グラフに記された「失われた30年」とも呼ばれるこの期間、大企業では儲かっても溜め込む守りの経営が定着し、その結果、企業の体質は強化されましたが、ゼロベアが定着したことにより実質賃金は横ばいのままで個人消費が伸びず、それが日本経済の長期停滞の一因になっているということなのですが、この本では、この典型的な「合成の誤謬」が続いている状況を様々な観点から解明しています。

 

コーポレート・ガバナンス、働き方改革、政府・日銀の誤算、イノベーション、なるほど納得できる話が多いです。

 

労働者が生産性向上の恩恵を受けられない収奪的な経済システムへと陥っていく状況の中、最も割を食うのは長期雇用制の枠の外にいる人たちということですが、いち早く枠の外に飛び出した私も損をしているということになるのでしょう。

 

ただ、長期停滞する日本経済においても、株価は堅調。

 

これには儲けを溜め込み続けてきた大企業が近年力を入れている配当の引き上げや自社株買いも大きく寄与していますが、私もヘタクソながらも長年コツコツと続けてきた株式投資によって、利益、配当という形で企業の株主重視の経営方針の恩恵を受けており、その点では収奪する側にも立っているということに気づかされました。

 

個人的には運よく帳尻を合わせられている形にはなっていますが、収奪される一方で苦しんでいる人も多いので、収奪的な経済システムから包摂的な経済システムへと少しずつでも立ち戻れるよう、それができる人たち、それをやるべき人たちに頑張ってもらいたいところです。

 

実質賃金の上昇が経済成長につながるのか、そこは疑問ではありますが。