在野と独学の近代 | Archive Redo Blog

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DBエンジニアのあれこれ備忘録

 

 

 

19世紀後半から20世紀前半にかけて、独学で歴史に名を残すような功績を上げた在野の研究者の学びについて考察した本。

 

当時の日本とイギリスにおける、大学や研究機関の在り方、アマチュア研究者たちを支えた図書館、雑誌、辞書、郵便といったインフラやシステムの在り方などの話が面白く、なるほど、こういう場があったからこそ在野の研究が成り立っていたのかと興味深く読むことができました。

 

ただ一つ、本書の構成について少し思い違いをしていました。

 

紹介文に書かれていた”南方熊楠を軸に”という一文を軽く受け流して買ってしまったのですが、読んでみると思った以上の”熊楠軸”で、在野研究の在り方についての俯瞰的な考察を期待していた私としては、焦点がぶれてしまって消化不良な印象を受けてしまいました。

 

熊楠研究の派生形として出したような本なのかもしれませんが、個人的には熊楠さんの話はほどほどに、日英だけでなく、アメリカ、ドイツ、フランスなどではどうだったのか、あるいは20世紀後半から21世紀にかけて、在野研究がどのように変化していったのかといったところをもう少し深堀してくれたほうがうれしかったです。