紅葉シーズンも終わり、少し人出も落ち着いた師走の京都、嵐山に行ってきました。
今日の目的は、福田美術館で開かれている「京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!」展。
福田美術館、初訪問です。
激レアな巻物というのは、この「果蔬図巻」です。
長年、ヨーロッパの個人蔵だったものが、昨年日本に里帰りし、福田美術館のコレクションに加わったそうです。
約50種類の野菜や果物が可愛らしくカラフルに描かれています。
壁には巻物と並行して、描かれている野菜、果物の一覧が掲示されており、中にはパッションフルーツやジャックフルーツなんてものもあり、多彩です。
ウドの形、クワイの色、いいですねぇ。生き生きとしています。
トウモロコシもいい。
最後、冬瓜に落款を収めているのも粋です。
「菜蟲譜」や「果蔬涅槃図」などもそうですが、家業が青物問屋である若冲ならではの、野菜や果物に対する愛情が感じられます。
この作品、とても気に入りました。
そして、これも有名な「乗興舟」も同じように詳しい解説付きで展示されていました。
「乗興舟」は、若冲と彼の支援者である相国寺の僧大典が京から大阪へ三十国船で淀川を下った時の様子を描いた版画で、大典の詩が添えられています。
昼間の船旅なのに白黒反転していて夜景のように見えるのが何とも面白い趣向の作品です。
「果蔬図巻」の巻末にも若冲の画力を賛美する大典の跋文が添えられていましたが、大典は若冲に心底惚れ込んでいたんですね。
「ライジング若冲」というドラマで大典と若冲の交流がBL的に描かれていましたが、この船旅の様子からも少しそういうことを感じてしまいました。
若冲の作品は他にもいろいろありました。
この対幅の「鯉魚図」など、特に筋目書きの技法が見られる水墨画が充実していました。
「霊亀図」はなぜにこの胴体にこの頭?
つぶらな瞳がゆるキャラっぽくて愛らしく、密かにファンが多そう。
「蕪に双鶏図」は後の「動植綵絵」にも通じる作品で見ごたえがありました。
これが最初期、三十代の作品というのですから驚きです。
「鶏図押絵貼屏風」は鶏の様々な姿を少しユーモラスな表情で描いていて、これも若冲らしくておもしろいです。
本展では、若冲以外にも、沈南蘋、鶴亭、蘇我蕭白、円山応挙など、若冲が影響を受けた画家や若冲と同時代に活躍した画家の作品も展示されていました。
小規模な美術館なので、展示作品数は約50点と少なめでしたが、これくらいの方が疲れず、一つ一つの作品をじっくり鑑賞できてちょうどいいです。
基本的に写真撮影可なのもうれしいですね。
鑑賞を終えたのはお昼前。
嵐山でお昼を食べるのはなかなか大変なので、館内のカフェ「パンとエスプレッソと福田美術館」でいただきました。
少々お高いですが、ボリューム満点のパニーニと、コーヒーもおいしかったです。
席も広々、明るく落ち着いた雰囲気で、窓の外に少し紅葉の残っているお庭や桂川、渡月橋も見えて、居心地もよかったです。
今回初めて訪れた福田美術館ですが、ちょうどいいスケールで人もそれほど多くなく、ゆったりと芸術鑑賞できてとてもよかったです。
コレクションも私好みのようですので、また訪れたいと思います。