2022年から毎年秋に開催されている「京都モダン建築祭」に行ってきました。
最近、こういうモダン建築巡りが人気なのか、大阪の「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」、神戸の「神戸モダン建築祭」と合わせて三都で同じようなイベントが順繰りに開催されています。
京都は先週が前期で南半分のエリア、今週が後期で北半分のエリアで特別公開が行われています。
まずは、パスポートを購入するため町家を改装したアートギャラリー&スペース「be京都」へ。
町家の内部も見学できるようになっていましたが、この町家には「竹の節欄間」など一般的な京町家にはない特徴がいろいろと見られます。
中庭もコンパクトにまとめられていてとてもきれいです。
2階はギャラリーになっており、オーライタローさんの絵などが展示されていました。
モダン建築は絵に描いても味がありますね。
こちらは京都復活教会に備え付けられていたヴォーリズデザインのドアノブ。
ガラス製というのがおしゃれです。
続いては元西陣小学校。
窓の格子にアールデコの意匠が施されており、窓から差し込む光に影として映り込む様に趣があります。
内部は撮影不可でしたが、廊下、階段、天井、扉、窓などに木がふんだんに使用されており、温かみを感じる空間でした。
こちらは京都市考古資料館(旧西陣織物館)。
ごてごてしたところがほとんどなく、機能性、合理性を追求した非常にシンプルな作りで、日本で最も早い時代のモダニズム建築だそうです。
1階、2階は資料館となっており、今回は3階の旧貴賓室が公開されていました。
こちらも非常にシンプルですが、壁にはさりげなく西陣織のクロスがあしらわれています。
この扉の向こうには何が?
次は、少し長い距離を歩いて、船岡山の麓、鞍馬口通にある京都で一番有名な銭湯、船岡温泉へ。
今回最も見学したかった建物で、ここが公開されるからこそ来たようなものですが、同じように思う人は多かったようで、着いてみると入場待ちの長蛇の列で、入場できるまで50分ほどを要しました。
公開は今日だけ、しかも営業開始前の10:00~14:00だけ。
普段はお風呂には入れても、写真は撮れないですから貴重な機会です。
外観では、なんといってもこの唐破風が目を引きます。
軒下には水流の文様があしらわれています。
玄関から早くもマジョリカタイル。
浴場は番台で分かれる形ではなく、中に入ってから分かれる形式。
脱衣場は人が多かったので上向きの写真のみですが、上の方に見どころがたっぷり。
壁にはマジョリカタイルがはめ込まれ、天井は格天井で格子に塗りが施されていてしゃれています。
欄間には京都の各所の祭礼の様子が彫り込まれており、中央の仕切り壁の欄間は上海事変で英雄視された爆弾三銃士を題材としたものだそうで、時代性が現れています。
天井の中央からは天狗がにらみを利かせています。
浴場への入口。
壁一面マジョリカタイルで彩られた洗面台や打たせ湯を通って浴場へと向かいます。
タイルも1種類ではなく、同じ模様のタイルの中に、ポッと一輪の花や風景のタイルがはめ込まれていたり、
数種類のタイルを組み合わせてストライプにしていたりと、工夫を凝らした意匠になっています。
窓の外には橋の欄干や擬宝珠が見えますが、
その外は中庭のような空間になっており、下には池があり鯉が泳いでます。
浴場は結構広々。
いろいろな湯船がありました。
天井近くの採光用の窓のひとつに色ガラスが埋め込まれているのがしゃれています。
京都は基本電車で日帰りで遊びに来るところなので、今まで銭湯に入るという発想はなかったのですが、こういう銭湯なら今度はぜひ入りに来たいと思います。
船岡温泉からは鞍馬口通を東へ歩き、紫明会館へ。
こちらはスパニッシュやアールデコの様式を取り入れた建築様式で、一見ヴォーリズ建築のようですが、そうではないそうです。
京都府師範学校の同窓会館として建てられたそうですが、3階講堂の舞台にはアールデコの特徴が見られます。
高さのある窓からはたっぷりと光が取り入れられ、窓に映る緑も素敵です。
こういうモダン建築では階段がけっこう好きで注目しています。
3階講堂へは裏の階段を上がってきたのですが、特に装飾がない殺風景な階段ながらも天井下の十字格子の丸窓がしゃれています。
こちらは2階へ降りるに使った表の階段ですが、こちらには講堂と同じ窓。
2階の談話室。
壁が剥がれたりして傷みもありますが、今も現役で活用されているんですね。
(2) へつづく...