塩田千春 つながる私 | Archive Redo Blog

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DBエンジニアのあれこれ備忘録

 

中之島美術館で開かれている「塩田千春-つながる私」を観てきました。

 

 

 

エスカレーターを上がっていくと、入口を入る前から作品が。

 

 

 

この作品の中を縫うように入口に向かいます。

 

 

 

入口を入ると1つの展示室を丸々使ったこちらのインスタレーション作品。

 

今回の展覧会で一番観たかった作品です。

 

縦横無尽に張り巡らされた糸が壁と天井を覆い、蚕の繭の中にでもいるかのような空間で、不規則に編み込まれた糸を見ると、まず、脳の神経細胞のニューラルネットワークを連想します。

 

今、何かと話題の生成AIの中も可視化するとこんなふうなのでしょうか。

 

 

 

また、一見動きがないように見えるこの空間ですが、水面を見ると、糸から滴り落ちる水が静かに小さな波紋を広げており、この水が加わることによって、白い糸は水が蒸気として立ち上っているようにも見えます。


観る人によって捉え方は異なるでしょうが、巡る、循環するということが多面的に表現されているように感じます。

 

 

 

こちらも糸を編み込んだ作品。

 

 

 

様々な編み込み方で表現されています。

 

 

 

近年、糸を使った作品が多い印象の塩田千春さんですが、このようなドレスを使って表現した作品も多く手掛けられているようです。

 

 

 

そして、今回の展覧会のキービジュアルとなっているこの作品。

 

縦に張り巡らされたロープには広く一般に募集した”つながり”をテーマにしたテキストメッセージが幾重にも重なる輪のようにつながれています。


 

 

その紙が風に舞っているようで、生を感じる作品でもあります。

 

 

 

大型のインスタレーション作品が目を引く今回の展覧会ですが、ドローイングや映像の作品なんかもあり。

 

 

 

今回のメインテーマは”つながり”ですが、塩田千春さんは「存在とは何か」、「生きることとは何か」ということを問い続けている方でもあり、中にはこうした一見グロテスクな表現の作品もありました。

 

このように突然方向性の異なる作品が出てくると戸惑うことも多いものですが、会場内には、ご本人が自身の経歴や作品の表現の意図などを解説しているビデオが放映されており、ただ作品を見て回るよりも、何を表現しようとされているのかわかりやすい展覧会でした。

 

 

過去に瀬戸内や越後妻有の芸術祭で観た作品、特に糸を使った作品がとても印象的だったので、今回この展覧会を観に来てみたのですが、芸術祭の場合と違ってその土地の色が付かないので、より純粋に作品に向き合えたのはいい機会でした。

 

またどこかの芸術祭でお目にかかりたいですね。