神戸・続神戸 | Archive Redo Blog

Archive Redo Blog

DBエンジニアのあれこれ備忘録

 

 

 

神戸を舞台とした作品ということで読んでみました。

 

神戸と言っても、戦時中の神戸なのですが、戦時中にこんな世界があったのかと驚きました。

 

戦時中というと、数々の映画やドラマで観るイメージが固着していますが、そんなイメージとは全く異なります。

 

戦争という恐怖にさらされながら、自由を求めて生きる様々な国籍の人々、訳アリの日本人たち...

 

裏表紙のあらすじに”コスモポリタニズム”と書かれていますが、まさにそんなコミュニティがトアロードのホテルに存在していた。

 

俳人である西東三鬼は、東京のなにもかもから逃れてここへ流れ着いたとのことですが、この作品はそこで出会った名もない人々への賛歌であり鎮魂歌のよう。

 

自らもその奇妙なコミュニティの一員となりながら、どこか一歩引いたところから見ているような語り口が、なんとなく、村上春樹の初期の小説の”僕”的に感じられて、実話でありながら小説のような感覚で愉しめました。