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楽園のカンヴァス (新潮文庫)
724円
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「モダン」を読んで、原田マハさん(の美術小説)いいかも...と思い、続けざまに読んでみた作品。
伝説のコレクターの大邸宅に招かれた二人のルソー研究者が目にしたのは、アンリ・ルソーの代表作「夢」に酷似した絵。
その二人に求められたのは、ある謎の書に記された物語を手掛かりに、その絵の真贋判定をすること。
7日間で物語を読み切り、正しく真贋を判定した者にその絵の所有権を譲るとのこと。
さてその真贋やいかに...
美術ミステリーというジャンルに分類される小説ではありますが、確かに謎を解き明かすという意味ではミステリーですが、ダヴィンチ・コードのような壮大さや派手さもなく、人が死ぬこともありません。
本物か偽物かを推理するつもりが、いつのまにかルソーとルソーを愛する人々の物語に引き込まれていく...
ああ、こういうミステリーの形もあるのだなぁと感嘆する、ルソー愛に満ち溢れた優しく美しい作品です。
キュレーターでもある著者のルソーやピカソに対する造詣の深さがあってこそ描ける作品かと思いますが、蘊蓄を並べ立てるだけのものではなく、日本人にはあまり馴染みのないアンリ・ルソーの世界に優しく誘うようなところも素敵です。
冒頭が、大原美術館で、監視員の視点から始まるというところで、もう心をぐっと鷲掴みにされた気分でした。
ああ、もう一度、大原美術館に行きたい...