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御松茸騒動 (徳間時代小説文庫)
691円
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この本の題が「松茸騒動」だったらたぶん興味を持たなかったでしょう。
「御松茸」というところに漂う滑稽話の匂いにつられて読んでみました。
「三べえ」という亡き父の旧友たちの起こした間抜けな不祥事に巻き込まれ、江戸から故郷尾張の「御松茸同心」へと左遷された若き尾張藩士榊原小四郎が、松茸の不作に苦しみ、献上品としての不足分を穴埋めするために他国産の松茸を買って借財を増やし続けている藩の実情を目の当たりにして、松茸のことなど何もわからないところから改革に取り組もうと奮闘する物語です。
バブル後遺症に苦しむ企業の再生のような話ですが、「すかたん」などと同様、コミカルに描かれていて気楽に楽しめる作品です。
山の恵みにしても海の恵みにしても、自然から豊かな恵みを得るには、ただ自然に委ねるだけではなく、人による手入れも大事なのだということを再認識させられました。
松茸狩りして、採れたての松茸をいただく...忘却の彼方にあった思い出が記憶の中に蘇りました。