無双の花 (文春文庫)/文藝春秋- ¥551
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立花宗茂という戦国武将のことを知っている人はどれくらいいるでしょうか?
戦国時代や戦国時代をテーマにしたゲームが好きな人ならご存知かもしれませんが、一般にはほとんど知られていないのではないかと思います。
そういう私もそれほどよくは知らなかったのですが、実はとても興味深い人生を送った武将らしいということでこの作品を読んでみました。
立花宗茂は、元は豊後の大名、大友宗麟の家臣であった高橋紹運の嫡子で、同じく大友氏に属していた立花道雪に男子がいなかったために、その婿養子として迎えられ、秀吉の九州征伐の折に、秀吉に「その忠義鎮西一、その剛勇鎮西一」と気に入られ、柳川十三万二千石を与えられて大名になった武将です。
その妻である立花誾千代も知る人ぞ知る人物。宗茂を夫として迎える前から道雪に立花城を任されていた女城主であり、宗茂と共に5万の大軍で押し寄せる島津勢を退けたという武勇伝の持ち主です。
ということで、この夫婦の絆を主題に据えた作品なのかなと思いきや、それも作品に彩りを添えているものの、主題は別にあり。
立花宗茂は関ヶ原の戦いで西軍に属したため、領国を召上げられ浪人に身を落としますが、十数年後に旧領に返り咲くという、他に類をみない復活劇を演じます。
宗茂はいかにして復活を遂げたのか...
その復活を支えた”立花の義”とは...
立花宗茂という関ヶ原負け組大名の半生がこの作品のメインテーマになっています。
関ヶ原負け組のその後を描いた作品としては、池波正太郎の「真田太平記」(真田信繁)、司馬遼太郎の「戦雲の夢」(長曾我部盛親)などを過去に読みました。
彼らのように大阪の陣で秀頼のもとに参集し、華々しく散っていった武将たちのほうが絵になるからでしょうか、そういう作品が多いですし、また印象も強いものがあります。
この作品にも真田信繁と長曾我部盛親が登場し、宗茂を誘うシーンがありますが、結局、同じような境遇から正反対の半生を歩むことになるわけですね。
しかし、歩む道は違えど、どちらも自分なりの義を貫いたという点では同じなんでしょうね。
どちらがいいとか、悪いとかではなく。