松江散策 | Archive Redo Blog

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DBエンジニアのあれこれ備忘録



今まで行ったことのない都道府県の1つ、島根県に行ってきました。

その県庁所在地である松江をぶらぶら。

松江と言えば、まずは松江城。




関ヶ原後、この地に移封された堀尾吉晴が1611年に築城した城だそうです。

堀尾吉晴と言えば、山内一豊、中村一氏らとともに、織田、豊臣、徳川に仕えた武将で、なんだかパッとしない印象だったのですが、この銅像はなかなか威風堂々としています。




門がほとんどなくなっているためか、本丸までは易々と侵入できそうな感じに思えましたが、黒を基調とした天守は、壁には狭間や石落とし、内部には井戸や貯蔵庫なども備えるなかなか実戦的な作り。




天守内部にはお約束の資料展示があり、それらを観ながら、古い天守特有の急でかつツルツルにすり減った階段を登り最上階へたどり着くと、宍道湖などの眺望が楽しめます。

松江城は現存12天守の1つで重要文化財指定ということですが、古さや規模など国宝4城にも引けを取らない立派なお城だと思います。

地元では国宝化へ向けた活動もされているようです。




ちなみに、堀尾吉晴が松江城を築く以前のこの地の政治的中心は、安来市の山あいにあった月山富田城で、尼子氏や毛利氏が覇権を争っていました。

こちらにも少し立ち寄ってみたのですが、人もおらず、本丸跡に向かう道中もやや荒れた感じで、案内も十分とは言えず、なによりも暑い中1km以上も山道を歩いていかなければならないようだったので、尼子家のために奔走して波乱の生涯を送った名将、山中鹿介幸盛の像を拝んで引き返してきました。

こんなところを訪れるのは歴史マニアの中でもごく限られた人だけだと思うので、やむを得ないのかもしれません。




松江城を観た後は、内濠を渡り、武家屋敷が軒を連ねる塩見縄手へ。

内濠には遊覧船が行き来していましたが、こちらも人気の観光コースのようです。




松江城とセットで観光コースとなっている塩見縄手には、武家屋敷のほか、松江を代表する著名人、小泉八雲の旧居や記念館などがあります。




小泉八雲旧居は古き良き日本家屋で、中には小泉八雲ゆかりの品などの若干の展示もありますが、なんといってもお庭が素晴らしいです。




居間から観る庭はこのような感じで、百日紅や、秋の花、桔梗や撫子が咲いていました。

裏にも池を配した蓮や睡蓮の咲く庭があり、三方を庭に囲まれてくつろげる空間になっています。

いつまでも座って庭を眺めていたい気分になりますが、小泉八雲もこの庭の素晴らしさを、「知られぬ日本の面影」の「日本の庭」という章に記しているそうです。


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玄関にはルリヤナギがきれいに咲いていました。




小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)...

実は、明治時代に日本に来て、松江で暮らし、日本人と結婚し、日本についての評論、あるいは日本的なものから着想を得た文学的作品をいくつか書いた...という程度の知識しかなかったのですが、記念館でその略歴や作品の紹介を見て、少し知識が深まりました。

彼が評価される理由は、外国人の目を通してみることによって日本人・日本文化の優れた点を再認識させられたという点にあると思います。

今でいうドナルド・キーンさんみたいな位置づけでしょうか。

ただ、彼の功績は高く評価されてしかるべきだとしても、彼が松江に居たのはたったの1年3か月です。

にもかからわず、この松江において最高の文学者として奉られているのは、それまで松江は文学的に不毛な地だったんですと自ら宣言しているようで、なんだかとても皮肉な感じがします。

ドナルド・キーンさんも、司馬遼太郎さんとの対談の中でそのようなことを語っていました。


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内濠の周りを歩いていると、芥川龍之介や志賀直哉が一時期松江に住んでいたことを記した案内板がさりげなく設置されていましたが、この辺をもう少しアピールすればとも思うのですが...

(松江時代の暮らしから、芥川龍之介は「松江印象記」、松江志賀直哉は「濠端の住まい」という作品を記しているそうです)


まあ、それはともかく、小泉八雲の著書を何かひとつ読んでみたくなりました。




あと、松江と言えば、宍道湖に沈む夕日が有名ということで、日の入りに合わせて観に行ってみたのですが、この日はあいにく、日が沈む直前の一番きれいに見える角度に雲がかかっており、イマイチでした。

こればかりは、お天気次第ということになりますが、松江の観光情報サイトには、「宍道湖夕日情報 」というコーナーがあり、夕日スポットや夕日指数などが公開されているので、これを参考にすれば、多少はきれいな夕景を観れる確率がアップするかもしれません。

ただ、嫁ヶ島と袖師地蔵を前景に入れる定番の構図を狙いたいなら、夏よりも冬の方がよいのかなという気がします。