八日目の蝉 | Archive Redo Blog

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DBエンジニアのあれこれ備忘録


八日目の蝉 (中公文庫)/中央公論新社
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小豆島が舞台になっているということで、小豆島に行く前に読んでみたのですが・・・

読み進めていくうちに、以前、映画をテレビで観たことを思い出しました(笑)
(そこからは映像イメージ付きで楽しめましたが・・・)

赤ん坊をさらった女が偽りの母子として過ごす逃亡の日々を、女の手記風に描いた前半は、未来への希望も救いも見出せないにもかかわらず、わずかな光にすがるように場当たり的に逃げ、生きようとする母子の姿が、ただひたすらに、とにかくイタイ・・・

しかし、その後、大学生になった子の生き方を描いた後半では、誘拐事件の背景やその後が明らかになっていくにつれ、救いも同情の余地もなかった偽りの母子への見方が次第に変化していきます。

この小説に登場するのはほとんど女性。
男は無責任で頼りない存在としてしか扱われていません。

そんな男たちのせいで人生を狂わされた女性たちの物語、フェミニズム小説とも受け取れますが、そんな女性だけで理想的な生活を営もうとした集団もまた彼女たちの人生を狂わせてしまう。

男性が読むのと女性が読むのとでは、感じ方がだいぶ違うと思いますが、男としては「結局、男も女も必要で、一緒にやっていくしかないんだから、もっとしっかりしてください、ちゃんとしてください。」と叱咤されているようで、身につまされます。