
と、その前に通り道の春日大社に参拝。

ちょうど砂ずりの藤が見頃でした。
地面の砂を擦るほど伸びるから”砂ずりの藤”と言われるそうです。
実際には人の頭を擦る程度の長さでしたが、とてもきれいな藤でした。

春日大社にお参りした後は、さらに新薬師寺にも寄り道。
御本尊の薬師如来坐像(国宝)と、その周りをぐるりと取り囲んで守る十二神将立像(国宝)は圧巻です。
十二神将は十二支の守護神でもあるんですね。

そして、いよいよ滝坂の道へ。
滝坂の道というのは、奈良市内から柳生の里へと続く柳生街道の一部、春日山原始林の中を通る石畳の道を指すようです。
かつてはここを修行僧や剣豪たちも通ったのだとか。

この道沿いには、斜面に張り出した岩に彫られた石仏を見ることができます。
こちらは夕日に照らされて神々しさを増すと言われる夕日観音。

こちらは朝日に映える朝日観音。

荒木又右衛門が試し切りをしたという伝説が残る首切り地蔵。

首切り地蔵のところで、道は二股に分かれており、右手に進むと、このコースで唯一山登りらしい道になりますが、その途中には、苔むした岩肌に朱色が薄っすらと残る地獄谷石窟仏を見ることができます。

首切り地蔵のところで分かれた道と再び合流すると、間もなく峠の茶屋に到着します。
古くから続く茶屋なんですが、ここで草餅を食べようと目論んでいたのにすでに完売...
ゴールデンウィークだからですかねぇ...仕方なく諦めました。
(そのかわりに帰りに奈良の中谷堂でよもぎもちを食べました^^)

峠の茶屋を出ると誓多林の集落に出ます。
このあたりはお茶の栽培も盛んらしく、所々に茶畑が見られます。
(そして、茶畑の中にもお地蔵さんが...)
茶畑の茶の木には新芽がいっぱい出ていました。
もうすぐ初摘みですね。
ただ、道としておもしろいのはここまで。
誓多林の集落を過ぎると比較的平坦で特に見どころもない山道がずっと続きます。

そして、柳生街道のほぼ中間点、円成寺に到着です。
ここも古いお寺で、新薬師寺の薬師如来坐像と同様、大和十三佛に数えられる運慶作の大日如来坐像(国宝)をはじめ、御本尊の阿弥陀如来坐像や四天王など、仏像マニアにはたまらないと思います。
奈良市内からここまで約12km。
高低差もそれほどなく、軽いハイキング気分で楽しめる道です。
距離的に物足りなければ、さらに柳生まで(約9km)足を伸ばしてみるのもいいと思います。
ただ、このコースで注意すべきは帰りのバス。
2時間に1本とかしか走っていないので、事前に調べておかないとかなり待ちぼうけをくらうこともありえます。
(調べていたら調べていたで、バスの時刻のプレッシャーでゆったり歩けないということも...)
そう考えると、逆に円成寺や柳生から奈良へと歩いた方が気持ち的には楽かもしれません。
この道を歩くのは、子どもの頃、家族でハイキングに来て以来ですが、ほぼ当時の記憶のまんまでした。
街は目まぐるしく変わりますが、こういう道は変わらないものですね。
懐かしく楽しめました。