体制維新-大阪都 | Archive Redo Blog

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体制維新――大阪都 (文春新書)/橋下 徹
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大阪市民でも大阪府民でもないためにどこか他人事のように感じていて、何となくしか知らなった大阪都構想。

大阪府知事と大阪市長のダブル選挙も終わり、今更ながらではありますが、その全貌を知るために読んでみました。


大阪都構想というと、大阪府と大阪市で同じような行政サービスを提供するいわゆる二重行政の無駄をなくすというところに目が行きがちです。

もちろんそれも利点とされていますが、真の狙いはその先にあるんですね。

基礎自治体と広域自治体の役割分担を明確にし、基礎自治体となる区では、地域の特性に応じてよりきめ細かな住民サービスを提供し、広域自治体である都では、大阪全体の経済成長を担う。

特に注目すべきは、その成長戦略というのが、世界の大都市との都市間競争に打ち勝つことを見据えたものであるというところです。

ニューヨーク、ロンドン、パリ...アジアで言えば上海、ソウルなど...

これらの都市は広域行政を強化し、強烈な発信力・推進力を持って国家を牽引する原動力となっています。

日本の場合、国家を牽引するエンジンは東京のみ。

大阪都構想は、統治機構の変革をステップに、大阪を日本を牽引する2つ目のエンジンの役割を担える都市へと引っ張り上げようという構想でもあるわけです。

そうして都市として成長・発展することができたならば、それに伴って税収が増え、それが住民サービスという形でそこに暮らす人々に還元される...

大阪都になったら、大阪府民、大阪市民の暮らしがどうよくなるか、といったすぐ目に見える形での成果を期待するべきものではなく、将来の実りのために土を耕そうというのが大阪都構想なんですね。

明治維新以降、大きな変革もなく、すっかり硬直してしまった日本の統治機構を変えるのは非常に難しいことではあると思いますが、それができるのは政治家であり、それをすることが政治です。

国家レベルでそれができないのであれば、まずは地方から。

”おおさかと”と入力して”大阪都”と一発変換される日が来るのか来ないのか...

橋下さんをはじめ、大阪維新の会の志と今後に期待してみたいところです。