宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書)/村山 斉- ¥840
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宇宙の成り立ちを知ろうと思えば、目に見えない素粒子の世界を理解する必要がある。
逆に大きな宇宙を調べることによって、素粒子の世界を理解できることもある。
極大と極小、両極端の世界でありながら、宇宙と素粒子は切っても切れない関係にあります。
著者は、このことを自分の尾っぽを飲み込むウロボロスの蛇に例え、宇宙が何出てきているのか、どう始まって、これからどうなっていくのかというところに思いを馳せながら、素粒子物理学の基本をわかりやすく紹介しています。
おそらく、最大限に分かりやすく書かれているのだと思います。
しかし、それでも素人には分かりにくい世界ですね。
ただ、それはそれでぼんやりとでも覚えておけばいいかと思うのですが、それより、この本を読んで驚嘆したのは、素粒子物理学の第一線で活躍する研究者の頭脳の優秀さと粘り強さです。
従来の理論で説明できない現象が観察された時、目に見えない、あるかどうかもわからないものについて、「こういうものがあれば理論的に辻褄が合う。」と仮説を立て、あらゆる方法を用いてその存在を確認しようとするのですから。
そういえば、先日、茨城県の「大強度陽子加速器施設J-PARC」から岐阜県の「スーパーカミオカンデ」に向けてミュー型ニュートリノを飛ばし、電子型ニュートリノに変化する「ニュートリノ振動」という現象の兆候を捉えたというニュースがありました。
この実験については、この本の中でも少し触れられていますが、スケールといい、緻密さといい、いや、もう、頭のいい人たちの考えること、やることはすごいですね。