闇の穴 (新潮文庫)/藤沢 周平- ¥500
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「小川の辺」は、藩命を受け、実の妹と連れだって脱藩した義弟の討ちに江戸へと向かう武士の話。
いざ義弟を討とうとした時、気が強く、剣術の心得もある妹が黙ってそれを見ているかどうか...
万一、斬りかかってきたなら、その時どうするか...
非常な主命を受け、忠義と情愛の間で葛藤する武士の姿を描いた秀作です。
原作はすぐに読めてしまう短編ですが、映画なら、間を作りだすことで、より味わい深い作品になるのではないかと思います。
この「小川の辺」のほかで武士を題材にした作品は「木綿触れ」のみ。
あとは、庶民を描いた市井ものなんですが、いずれも人間の狂気や闇の部分を主題にしたものばかりで、何かこう重苦しく、薄気味悪い読後感が残りました。
こういう趣向の作品も書かれるんですね。