デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)/藻谷 浩介- ¥760
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「景気の波を打ち消すほど大きい人口の波が日本経済を洗っている。」
高度経済成長、住宅バブル、平成不況、就職氷河期、戦後最長の好景気下での内需縮小...
戦後日本で見られた経済現象の多くは、人口動態、とりわけ生産年齢人口(15歳から64歳までの人口)の推移を見れば概ね説明がつく。
所得はあっても消費をしない高齢者が激増し、最も消費してくれるはずの現役世代が減少することで、内需がどんどん縮小しているのが、日本経済の現状。
にもかかわらず、誰もその事実を見ようとせず、これらの経済現象について間違った解釈をし、的外れな経済政策を打ち続けている。
著者の指摘は、様々な経済現象が人口構造の変化に符合していることを具体的なデータで示している点では注目すべきものですが、考え方自体は決して斬新なものではありません。
この本の中に登場する「人口ボーナス」と「人口オーナス」という言葉。
生産年齢人口の増加にともなって得られる経済の発展と、その逆を示すものですが、私のような経済通でも何でもない一般市民ですらすでに別の本で読んだことがあるような理論です。
ただ、どういうわけだか、政治家、専門家、メディアの多くが、水面に描かれる波模様だけを見て、その直下にある人口の大きなうねりを正面切って見ようとしていない。
それゆえに、そこから情報を得ている一般の読者は、この本を読んで、”目からウロコ”と言わなければならないのでしょう。