衆愚の時代 (新潮新書)/楡 周平- ¥714
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政治家やマスコミによって繰り出される耳触りのよい言葉、綺麗事、正論という名の空論が溢れるこの世の中、誰も本音を言わないなら、私が言いましょう...という本です。
雇用、投資、少子高齢化など、回りくどい説明は極力省き、本音でズバズバと切っていく論調は、同意できる点で胸をすく爽快さがある半面、同意しかねる点では感情的で偏った見方をされているように思えます。
中でも気になったのは最後の章。
某政権与党をボロカスに批判しているのですが、その点にはおおむね同意できるものの、その締めくくりが”まこと、我々は不幸な国に生まれたものです。”というのはどうなんでしょう?
衆愚と言うならば、そんな実態を見抜けずに圧勝劇を演出してしまった有権者の愚かさを指摘しなければならないのではないのでしょうか?
重厚な印象をもたらすタイトルとは裏腹に、全般的に感情が先行しがちで論拠にやや乏しいという点で物足りなさを感じますが、こういう見方もあるのだなぁというくらいの軽い気持ちで読むにはちょうどいいかと思います。