疑似科学入門 (岩波新書)/池内 了- ¥735
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科学の時代、情報化の時代と言われる現代においても、世の中にはあたかも科学的であるかのようにふるまう非合理が数多く存在し、人々はそこに安息を求めるかのように引き込まれていきます。
この本ではそういったものを「疑似科学」と呼び、
- 占い、超能力、心霊現象、「疑似」宗教など、精神世界に関わるもの(第一種疑似科学)
- 健康食品、マイナスイオンなど、物質世界に関わるもの(第二種疑似科学)
- 地球温暖化、BSE、電磁波公害など、複雑系に関わるもの(第三種疑似科学)
考えることを放棄し、何かにすがり、ゆだねることは楽ではありますが、そんな人間の心の揺らぎに手を変え品を変え巧みにつけこんでくるのが疑似科学というもの。
著者は、今後も疑似科学は廃れることなく存在し続けるであろうとた上で、そんな疑似科学への対処法として、自ら考えること、正しく疑う心を養うことの重要性を説いています。
結論だけ聞くと、「そんなこと、わかってるよ。騙されんよ。」と鼻で笑う人もいるでしょう。
ただ、第一種、第二種に関してはそうだとしても、第三種についてはどうでしょう?
著者は、要素還元的アプローチによって原因と結果を予測することが困難な複雑系の問題については、疑うことによって不可知論に持ち込むのではなく、安全サイドに立って予防的な手を打つ「予防措置原則」が重要だとしています。
はっきりわからないから何もしない...ではなく、はっきりわからないけれど、もしそうだとしたら、今はこうするのが得策だろう...と考えることです。
わかっているつもりでも、意外とそこまで考え至らないようなことも多いのではないでしょうか?
そんなわかっているつもりな人にこそオススメしたい一冊です。