塩の街 (角川文庫)/有川 浩- ¥700
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有川浩さんの自衛隊三部作の初作でありデビュー作。
「空の中
」、海の底
」に続いて文庫化されたので読みました。
世界中に巨大な塩の結晶が降り注ぎ、それを見た人が次々と塩化して死に至るという未曾有の危機に見舞われる中、社会システムが崩壊した東京の片隅に暮らす男と少女が、様々な人と出会い...
という例によってトンデモ設定なわけですが、デビュー作ということもあってか、後発の2作と比べると多少、青臭さや設定の粗さを感じます。唐突にやってくる結末にも、読んだ直後は「あれっ?」という感じでした。
ただ、この作品の場合、設定のリアリティにはあまり意味はないですね。
社会というシステムによってもたらされていたあらゆる保証が失われた異常な状況下で、むき出しになる様々な人間の欲望や感情...その描写こそがこの作品の主題であり面白さかと思います。
他の2作とは違って、当初はライトノベルとして電撃文庫から発売されたこの作品。
電撃文庫版は単純にイラストを見ただけで敬遠していましたが、大人でも十分に楽しめる内容ですね。
塩の街―wish on my precious (電撃文庫)/有川 浩- ¥578
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