強欲資本主義 ウォール街の自爆 (文春新書)/神谷 秀樹- ¥746
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金融危機関連本、2冊目です。
この本では、長年ウォール街で働きながらも、「金融マンは実業を営む方々の脇役に徹するべきだ」という信条を持ちつづける著者が、近年、ウォール街において如何に強欲で阿漕なビジネスが繰り広げられてきたか、そしてそれが今回の金融危機の大きな要因となったことを、生々しいエピソードを交えながら語ってい ます。
いやぁ、相当、えげつないです。
「強欲(Greed)」はキリスト教の七つの大罪の一つにも数えられますが、キリスト教国であるはずのアメリカの金融の中心、ウォール街でこのような強欲、傲慢な資本主義がこれほどまでに蔓延するとは、神も軽く見られたものです。
著者は、「強欲資本主義」が引き起こしたバブルが崩壊した今、経済へのダメージそのものよりも、金融界だけでなく、社会全体で伝統的な倫理観や価値観が失われ、「信用の輪」がずたずたに切れてしまったことを強く嘆いています。
そして、成長至上の経済を見直し、もう一度失われた倫理観や価値観を見つめなおすことで新たな資本主義のありようを考える必要があることを説き、また、それが日本から世界に示されることを期待しています。
他の人が言うと単なる懐古主義的な意見と感じるかもしれませんが、あのウォール街に生きる人の言葉だけに説得力があります。
実際にはなかなか難しいことだとは思いますが...