住宅政策のどこが問題か | Archive Redo Blog

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住宅政策のどこが問題か (光文社新書)/平山洋介
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戦後の日本社会では、住宅所有はセキュリティの確保と資産形成の有効な手段であり、高度経済成長の中、安定した雇用の確保、世帯の形成、収入の増加というライフイベントにあわせて、借家から持家へと住まいの形態を変えていくのが標準的なライフコースでした。

政府の住宅政策もこうした標準的なライフコースを歩む人たちを手厚く支援してきました。

しかし、20世紀の終盤以降、雇用の不安定化や世帯を形成しない人の増加などによって、そうした標準的なライフコースを歩む人は減り続けています。

にもかかわらず、政府の住宅政策は、今現在実施されている住宅ローン減税のように、かつてに比べると景気刺激策としての色合いが濃くなったものの、依然として持家指向の人たちへの支援に偏ったままです。


この本では、そんな日本の持家社会の現状を分析した上で、標準的なライフコースを歩む人たちとそうでない人たちとの間の有利/不利をなくし、多様化する居住形態を中立的に支えることが、今後の住宅政策を考える上で重要であるという結論を導き出しています。


全くその通りだと思います。

社会の変化云々にかかわらず、そもそもそうあるべきであると思っています。

租税原則は一般的に「公平、中立、簡素」と言われていますが、その細かい定義はさておき、住宅政策にしても、その他の政策にしても、基本的には減税や補助といった形で国が国民のライフスタイルの選択に介入するべきではないと思うんですよね。


論文的でやや読みにくく、読み物としては”おわりに”だけでも十分かなという感じもしましたが、個人的には大いに共感できる内容でした。