わたし琵琶湖の漁師です (光文社新書)/戸田 直弘- ¥714
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このあいだ書店で新書を物色していてふと見つけた本です。
内容については大方察しはついていたのですが、私もたまに琵琶湖で釣りをするので、そこで漁をしている漁師がいったい何を考えているのか、垣間見ておくのも悪くはないかなと思い読んでみました。
内容は簡潔に言うと、漁師自慢と外来魚への恨み節...です。
なるほど、湖国の食文化の伝承者であるという錦の御旗を掲げ、外来魚という目に見えるわかりやすいものを敵と示して訴えれば、共感も得やすいと思います。
しかし、私には、自分たちの食い扶持が減ったことに対して怒っているようにしか思えませんでした。
漁師からしてみればアユやモロコやニゴロブナがたくさん獲れる湖であってほしい。
釣り客を相手に商売をしている人から見ればバスがたくさん釣れる湖であってほしい。
レジャーや観光で訪れる人にしてみれば、美しい湖であってほしい。
生活の利便性を求める人にしてみれば、環境や生態系など二の次、三の次かもしれない。
どのような美辞麗句を並べ立てても、結局は、それぞれの立場にとって都合のよい環境・生態系であってほしいと考えるのが人間というもの。
私のようにたまに釣りに訪れる者からすれば、魚が釣れるなら行くし、釣れなければ行かない...あるがままの自然の状態を受け入れるだけですが、利害が絡むとそうもいかないので大変です。
琵琶湖の場合は、ひと昔前の環境に戻ることが本来的には望ましいことなのかもしれません。
ですが、そのための方策が、特定の利害関係者の利益だけが優先されるものや、直接的な利害関係のない人に大きな負担を強いたりするものにならないようにしてもらいたいものです。