森林の崩壊―国土をめぐる負の連鎖 (新潮新書)/白井 裕子- ¥714
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国土の7割を占める日本の森林資源について、川上から川下まで、つまり林業から建築までを見通し、それぞれの現場で今何が起こっているのかを指摘し、次第に失われていく日本の木と森の文化を見つめなおそうという本です。
荒廃した森林、旧態依然で衰退する林業、使われない国産材、林業の活性化を阻害する複雑な補助金制度、欧州の森に対する思想、建築基準法によって建築困難になった伝統木造建築...
なるほど、言いたいことは理解できます。
知らなかった事実に驚きもします。
しかし、何かこうインパクトに欠けるというのが正直な感想です。
上流から下流までを見通しているのに、断片をかき集めたような印象で、つながりが見えてこないのです。
森林をめぐる社会の仕組み自体がつながりを欠いているから、そう思えるのも仕方のないことなのかもしれませんが、であればこそ、日本の森と木の文化を守り、育て、森林資源を有効活用するためのシステムをどう築き上げていけばいいのか、専門家ならではのもう一歩踏み込んだ具体的な提言を期待したいところです。