藤原氏の正体 | Archive Redo Blog

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藤原氏の正体 (新潮文庫)/関 裕二
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先日読んだ「隠された十字架」の中で、梅原猛氏は「日本書紀」の編纂に藤原不比等が大きく関与していたのではないかと論じていました。


その意味するところはつまり、藤原氏にとって都合のいい歴史書を作ることによって、自己の正当性を裏付け、一族の権力基盤を確固たるものにしようという意図があったのではないかということです。


もし、それが事実であるとするならば、私たちが学校で学んできた日本の古代史は、藤原氏によって偽造された誤った解釈の歴史である可能性もあるわけです。



と、そんな藤原氏の姿(胡散臭さ)がインプットされたところに、書店でふと目に入ったのがこの「藤原氏の正体」です。


なんとタイムリーなことでしょう...当然、お買い上げです(笑)



「日本書紀」の中で、藤原氏は「中臣鎌足が神祇伯に抜擢された」という記事によって唐突に登場します。


その中臣鎌足が中大兄皇子らとともに蘇我入鹿ら蘇我一族を誅し、天皇中心の政治に戻した大化の改新以来、鎌倉幕府の登場に至るまで500年余日本の頂点に君臨したこの一族は、それ以後も滅びることなく陰から時の権力者を操り、近代、現代にいたるまでその影響力を維持し続けています。


千年以上に渡って生き残ってきたこの一族は一体何者なのか?


この本では、藤原氏の謎に包まれた出自や、一族の繁栄を築き上げてきたやり口などが、独自の視点で論じられています。


特にその出自に関する考察は、非常に興味深かったです。


いくつかの説を考察する中で、筆者がたどり着いたのは、鎌足は当時百済から人質としてやってきていた百済王・豊璋ではないのかという説なんですが、もちろん他の説と同様、確証はないものの、当時の情勢を考えると軽く切り捨てられるものでもありません。



私たちが今を生きるにあたっては、全く重要でないことかもしれませんが、歴史の謎に思いを巡らせるのも面白いものですね。