過剰と破壊の経済学 「ムーアの法則」で何が変わるのか? (アスキー新書 042) (アスキー新書 42)/池田 信夫- ¥760
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「半導体の集積度は18ヶ月で2倍になる。」
ゴードン・ムーアが提唱した「ムーアの法則」です。
ITの世界では常識となっているこの経験則は、スピードの差こそあれ、磁気記録媒体、光学記憶媒体、通信速度など多くのIT技術に見られます。
この「ムーアの法則」は経済に何をもたらすのでしょうか?
IT技術の急速な進歩は、あらゆる情報をデジタル処理することを可能にし、しかもその情報処理コストは劇的に下がりました。
しかし、経済は希少な資源は節約し、過剰な資源は浪費するという具合に効率よく資源を配分することで成り立ちます。
つまり、ムーアの法則によって、情報インフラの希少性が失われ性能過剰となると、それ以外の資源の希少性が相対的に上がることになり、これらの資源をいかに節約するかが重要となってくるというわけです。
そのうち最も希少性の高いもの、経済活動においてボトルネックとなる最大の要因は...「人間」です。
言われてみれば、ごく当たり前のことなのですが、日本経済がその存在感を急速に弱めている大きな原因は、多くの分野においてこのことを大きく見誤っていることにあります。
過去の成功にしがみついたまま、このまま日本経済は座して死を待つことになってしまうのでしょうか?
そうは思いたくはないのですが...
既読「パラダイス鎖国」とはアプローチは全く違いますが、気がつけば同じような問題にぶち当たり、同じような結論に至っている...というこの国の状況...苦笑するしかありません。