十二国記 月の影 影の海 | Archive Redo Blog

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DBエンジニアのあれこれ備忘録


月の影 影の海〈上〉十二国記 (講談社文庫)/小野 不由美
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月の影 影の海〈下〉十二国記 (講談社文庫)/小野 不由美
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「屍鬼」などの作品で知られる小野不由美の異世界ファンタジーです。


読書好きのJ氏に「何かこう、どっぷりとはまりこめるような本が読みたいなぁ。」と言ったら、勧められた本です。



物語は普通の女子高生、陽子の前に突然ケイキという謎の男が現れるところから始まります。


時を同じくして現れた異形の獣たちの襲撃から逃れるため、ケイキは半ば強引に陽子を連れて、海に映る月の光のトンネルをくぐり抜け異世界へと導きます。


ところが、そこで再び獣たちに襲われ、ケイキたちとはぐれてしまった陽子は、何もわからぬ見ず知らずの土地で、そこに住む人々にはお尋ね者扱いされ、あるいは裏切られ、夜には妖魔の襲撃に遭うという孤独で過酷な旅を強いられることになってしまいます。


自分は一体何のためにここに連れて来られなければならなかったのか...


自問自答を繰り返しながらのあてのない試練の旅路。


しかし、いよいよ精根尽き果てようかという時、陽子は楽俊という名の半獣と出会い、この楽俊との旅がやがて陽子がなぜこの世界に連れてこられたのかという真実を明らかにします。



前半は、この世界のこともこの世界に来た目的も何もわからず、一瞬の希望もたちまち裏切りと化し、ただただ血生臭さと人間の醜さばかりがむき出しのグロい世界です。


しかし、不思議なことに、そんな夢も希望もない絶望的な世界にもかかわらず、どっぷりと引き込まれていきます。


そして後半、この世界の世界観や陽子の運命が徐々に明らかになると、一転して高揚感が増してきます。


古代中国風味の独創的な世界観と、極限の状況の中で葛藤しながら自我を確立していく心的描写が素晴らしい作品です。



この十二国記はシリーズ化されていますが、各作品は主人公や時代が異なっており、刊行順と時系列も一致しないという独特のシリーズ構成となっています。


この「月の影 影の海」は陽子を主人公とした作品では序章にあたります。


私はまだこの「月の影 影の海」しか読んでいないので、どういう順番で読むべきなのかよくわかりませんが、陽子が十二国記の世界へと誘われたように、十二国記の世界への導入編としては「月の影 影の海」が最初でよかったのかなと思っています。


さて...次はどれを読みますか...^^;