貝と羊 | Archive Redo Blog

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DBエンジニアのあれこれ備忘録


貝と羊の中国人 (新潮新書)/加藤 徹
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私、ぶっちゃけ、中国が嫌いです。


反日にしても、中国製品や中国産の食品の安全性にしても、コピー商品やバッタもん遊園地にしても、なんて国だと思ってしまいます。


逆に中国は中国で日本を嫌っているようですし。



と言っても...中国人と直に接したことはありません。


本当のところ、中国人が何を考えているのか...実はよくわかりません。


街で目にする中国製品やメディアなどから伝わってくる表面的な情報をもって嫌いだと思っているだけなんですよね。



まぁ、別に自分にとって全く関わりのないことであれば、別に好きだろうが嫌いだろうがどうでもいいんですが、中国は政治的にも経済的にも無視できない存在です。


特に投資の対象として魅力的な国です。


しかし、不快感、不信感が拭えずなかなか手が出ないんですよね。


もっと中国、中国人について、その根底にあるものを理解すれば、少しは安心して投資することができるのかもしれないのですが...



ということで、読んでみたのがこの本です。



「貝」と「羊」というのは漢字の一部を示します。


貝は財、貨、買、資、賭、寶などの漢字に使われます。


これは殷の時代に貨幣として使われていた貝に由来するそうです。


一方の羊は、義、善、美、養、犠などの漢字に使われています。


これは羊を捧げるとともに善行を積むことによって天を崇めた周人の文化に由来するそうです。


「有形の財」を重んじる殷の貝の文化、「無形の義」を重んじる周の羊の文化...ホンネとタテマエという2つの価値観を使い分ける中国人の考え方の起源は殷周革命にあると筆者は説きます。


共産主義と市場経済が両立したり、「政冷経熱」と言われる日中関係になりえるのは正に「貝と羊」の使い分けというわけです。

この本では、この「貝と羊」をはじめ、歴史、文化、地政学などから、中国人が何を考えてるのかを多面的に分析していますが、イチイチ納得できる話で、非常に興味深く読むことができました。


これを読んで、中国が好きになるかどうかはともかく、この国とはこういう付き合い方をすればいいのかというヒントは得られたかなと思います。