藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義 (光文社新書)/藤巻 健史- ¥945
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「伝説のディーラー」と呼ばれる藤巻さんの金融マーケットに関する講義本です。
為替マーケット、短期金融マーケット、長期国債マーケット、金利スワップマーケット、オプションマーケット...と、金融マーケットの仕組みや動き、そしてプロがどのようにして金融マーケットで儲けているかについて、幅広くざっくりと解説しています。
ただ、比較的平易に解説されているにもかかわらず、一度読んだだけではイマイチ理解できませんでした。
原因はおそらく2つあります。
1つは講義でしゃべった内容をそのまま文字にしているためかと思います。
話が綿密に組み立てられていない上に、脱線も多いんですよね。
(実は脱線話の方が面白かったりするのですが^^;)
現場で聴いていればより理解できるのかもしれません。
もう1つは、金融マーケットというテーマそのものがやはり感覚的に理解しづらいものであることかと思います。
2、3回読んでようやく感覚が掴めるか掴めないかといったところではないでしょうか。
また、理解したところで、どれだけ個人の資産運用に役立てられるかというと、これまたよくわからないところです。
ただ、少なくとも全く知識がないよりも、ざっくりとでも掴んでいる方が、さまざまな局面でより適切な意思決定ができるのではないかという感触は得られました。
日本は一般的には自動車や機械などの輸出で成り立っている貿易立国というイメージがありますが、国際収支は今や所得収支(海外投資の利子や配当)が貿易収支を上回る時代です。
アメリカにしてもイギリスにしてもそうですが、かつて強かった製造業には期待せず、今は金融で食っていこうという意識を持っています。
アジアでは香港やシンガポールが金融に力を入れています。
先進国や国民の生活水準の高い国、国土が狭く資源にも乏しい国は必然的にそうなるのかもしれません。
日本もこれからの時代、金融で食っていける国を目指す時期が来ているようです。
そういう意味で、この本がいいかどうかはともかく、これからの時代をよりよく生きていくためには、金融についての知識が外せないのかなと思う今日この頃です。
P.S.
金融立国についての話がちょうど「フィナンシャルジャパン」で特集されていたので併せて読んでみたのですが、危機感と期待感が交錯する(?)非常に面白い内容でした。
こういう話を一般のメディアでももっと取り上げてほしいんですがねぇ...
FINANCIAL JAPAN (フィナンシャル ジャパン) 2007年 12月号 [雑誌]
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