ひょんなきっかけからお茶を習い始めて25年。
悲喜こもごもの暮らしの中で、気がつけばそばにお茶があったという著者が綴るお茶にまつわるエッセイ。
お茶は戦国大名たちが狂ったようにのめり込んだ趣味・教養であり社交の場であるというイメージが強く、そしてまた現代ではすっかりご婦人方の高尚な趣味というイメージにすっかり様変わりしていて、いずれにせよ、個人的には縁がないものだと思っています。
ただ、あちこちで茶室や茶道具を目にする中で、その「設え」には高い関心があります。
茶器、掛け軸、花、菓子など、自然や季節を感じる空間演出は、日本人のDNAに刻まれた美意識をくすぐり、お茶のことを知らなくても心に響くものがあります。
この本ではそうした設えの話もふんだんに紹介されていて、その細やかさや奥の深さに感心するばかりでした。
そして、それだけではなく、がんじがらめの作法の向こうに広がる豊かな世界というものが感じられて、お茶を続ける人たちはこういうところに魅了されるのであろうことがよくわかりました。
日々の生活の中で水の音とお湯の音の違いなんて意識することあります?
お茶を始めようとは思わないまでも、そういった小さなことを感じ取り、ささやかな幸せを味わえるような大人になりたいと思わせてくれる一冊でした。
