いわゆる街の不動産屋が評価しない物件ばかりを取り上げている。
その評価基準は、「改装OK」であったり、「眺望」であったり、「倉庫っぽい」ことであったり…。
要するに、多様なライフスタイルに立った視点から捉えようとしているのだ。
例えば、価値の見出し方がこうだ。以下に本文の一部を抜粋する。
『オフィスビルにとって南側の窓というのは、室温が上がりすぎたり、パソコンのモニタに光が映り込むことを嫌い、小さく設けられているものだ。その例に漏れず、このビルも大通りに面した北側の窓は比較的大きく、絶景の見える南側の窓は必要最低限の採光しかなかった。でも、その閉じた壁の向こうにポテンシャルが眠っていた。オフィスには不要な眺望も、住宅にとっては一変して宝物になるのだ。』
本書で紹介している物件の中には、ごく少数の人しか振り向かないようないわゆる“ゲテモノ”物件も確かにあるが、それでも求めている人がいるのは事実なのだから、従来の不動産選びの基準を再考させられる。
また、従来の不動産と建築の関係は近いようで遠く、相異なる論理で成り立っていた。
しかし、物件のコンバージョンやリノベーションなどを通じて建築が不動産の価値論理を揺さぶるように介入しているのは、建築ができる領域を広げているようでとても面白いと思った。
僕も建築出身の一不動産マンとしてこのような新たなモデルを提示していきたい。


