古本カラーブックスの園芸ネタ第3弾(笑)
今回紹介するのは「庭木」(岡本 省吾著)です。
本書は通巻番号25、初版が昭和38年とカラーブックスの中でも古参の部類に入る一冊と思います。
最近の新興住宅地では背の高い庭木という物をほとんど見なくなっていますが、私の現住地なんかだといまだに田舎の風物を残しているだけあって、古い家ほど庭先にさまざまな庭木が植えられていることが多く、どうかすると巨木のレベルまで行っているのを見かけるのもザラです。
本書が書かれた時期はまさにそうした庭木が全盛だった時期でもあり、そこいらの分譲住宅だったら1本で庭の半分を占領しそうな松やら梅やらナナメの木やらが掲載されています。
もちろんそうでないのも結構あるのですが、時代的に「ガーデニング」なんて呼ばれるようになった小洒落た庭いじりの前の時代、田舎だとどこの家でも年の暮に庭師が手入れに来る様な時代の庭木のノリという物が感じられます。
それだけに華やかさとは対極の落ち着いた色彩の調和があり、日本ならではの四季に呼応した庭の姿が偲ばれます。
実際、わたしが本書を眺めていて思うのは「初めて読むのに妙に懐かしい」感覚でした。
言い換えればこうした庭木のある庭園が年々減少しているという現実とは無縁ではないでしょうね。