「荒野の列車大襲撃作戦」 | MODELと日々の徒然と

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 先日CSで放送された「キイハンター」(1968年 東映 TBS)の161,162話から。
 「荒野の列車大襲撃作戦」「蒸気機関車 大渓谷の決戦」と言う前後編。

 最初、このタイトルを見た時、東映アクションドラマでよく使われる秩父鉄道、或いはその近辺の関東鉄道とか西武遊園地の蒸気機関車でも登場するのかと勝手に想像していました。

 ところがいざ始まってみたらそこに登場していたのが石川の「尾小屋鉄道」だったのには驚きました。
 尾小屋鉄道というと1977年に廃止されたものの今でも語り継がれる伝説の軽便鉄道(と書いても差し支えないと思います)

 しかもロケの背景にちょこっと登場するなんて半端なものではなくこの回のために蒸気機関車が牽引する列車を丸ごとひと編成仕立てているという豪華版です。
 

 某国から秘密裏に来日したテロリスト リコ(演じるは発明刑事こと深江章喜)を捕らえる事に成功したキイハンターたちだったが、 テロリストの首領(キングコブラこと南原宏治)にメンバーを人質に取られる。
 彼らの目的はリコの救出にあり、人質交換の場所は尾小屋鉄道終点の先にある廃鉱山。
 だが、キイハンター風間(千葉真一)とリコの乗った尾小屋の列車は既にテロリストたちにジャックされていた!
 実は彼らの目的はリコの救出ではなく殺害が目的であり、それを知った風間はリコと共に再び列車を押さえて脱出に挑む!


というのが大まかなストーリー。
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 冒頭に登場する新小松駅の構内では駅員に変装していたテロリスト(ゾル大佐こと宮口二郎)がいきなり銃撃戦。
 ジャックされたまま発車した列車では「トンネルの上から列車の屋根に飛び移った風間が走行中の列車の連結器を外し」敵の分断を図る。
 後編では「列車の奪還のために風間が列車の床下を這い進み機関車に飛び込む」「走行する客車の屋根上で風間とテロリストの格闘戦」「列車の床下から鉄橋に飛び降り」
 と「見せ場のほぼ全てが尾小屋鉄道と列車の描写でできている」と言っていいくらいの盛り沢山度を誇りますw

 蒸気機関車は現在は保存機になっている5号機ですが当時すでに休車状態だったのをこの作品のために駆り出したのだそうです。
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 牽引する客車はホハフ3、ハフ1、ハフ2の客車3連に無蓋車1両、緩急有蓋車のワフ3を連ねた5両編成。
 ホハフの方はリペイント直後だったらしく塗装や手すりがピカピカなのが目を引きますが他の車両は概ね年式相応にくたびれています。屋根上での格闘戦では投げ飛ばされた風間や敵役が屋根の上に落ちるとキャンバス張りの屋根が微妙にバウンドするのが見られ、興味深いです(屋根のキャンバス張りは本来の仕様と思われます)
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 これでもかと言うくらいに描写される走行シーンでは軽便の蒸気機関車の走りとはどう言うものかがよく分かります。
 軽便ゆえに「風間が走行中に走りながら飛び乗る」「走行中の列車から敵が次々に投げ落とされる」なんて描写も多いのですが低速とはいえ危険度の高いスタントが連続しているのは間違いありません。
 その面でも注目度が高い一作と言えます。

 ですが鉄道ばかりだと何ですのでおまけにクルマネタも少し。
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 冒頭の東京のシーンではダルマセリカとギャランGTOの追跡戦、前編中盤から後編は三菱ジープ2台が列車とチェイスを繰り広げます。
 当時のキイハンターでは三菱系の車がよく登場していた様ですが、2台のジープは他の作品でも登場頻度が高い車でした。私見ですが本作のジープは後に「大鉄人17」のEDに登場するレッドマフラー隊の2台のジープと同じ個体ではないかと思うのですが。