1107号目
相続税対策で、
一応、検討するのが
『贈与税の配偶者控除』です。
『贈与税の配偶者控除』とは、
婚姻期間が20年以上の配偶者に対し、
居住用不動産又は
居住用不動産を取得するための金銭を
贈与した場合には、
2,000万円まで贈与税が非課税となります。
これを使って、
相続財産を減らすことにより
相続税を軽減することが可能となります。
相続税対策を提案する場合には、
有名な制度なので、
一応は説明しますが、
今まで、この規定を使って
相続税対策をして頂いたのは、
2,3回しかありません。
というのも、実質的には
役に立たない制度だからです。
確かに、贈与税は非課税となり、
夫婦間で、居住用不動産の所有権を
移転することはできますが、
その他の税金の負担が発生します。
不動産の所有権を移転するには、
登記が必要です。
登記するには、登録免許税が課せられます。
相続での登記は、評価額の0.4%に対して、
建物の贈与の場合には、
2.0%と5倍となります。
例えば、2,000万円の建物を
贈与した場合には、
2,000万円×2.0%=40万円となります。
負担する税金はそれだけではありません。
所有権の移転した後には、
取得税が課せられます。
不動産取得税は、
相続による取得の場合には、非課税ですが、
建物の贈与の場合には、原則として
建物の評価額の3.0%の負担を強いられます。
2,000万円の建物の場合には、
2,000万円×3.0%=60万円です。
登録免許税と不動産取得税を合わせると、
100万円になります。
2,000万円の居住用不動産の
名義を変更するために、
100万円必要ということです。
司法書士に依頼したとしたら、
100万円に手数料も上乗せされます。
小さい金額ではありません。
結局のところ、
他の手法を使って、
相続財産を子や孫に移転した方が、
小さな負担で済むので、
この『贈与税の配偶者控除』は
ほぼ使いません。
今までに使ったのは、
遺産総額が数十億円あった場合です。
相続税率が40%、50%となると、
相続税は、かなり高額になります。
たったの100万円の負担で、
1,000万円の相続税が減るならということで、
使ったことがあります。
また、節税対策ではなく、
名義を変更したい事情が別にあった場合です。
配偶者間での居住用不動産の贈与税を
非課税にするなら、
関連する諸税も非課税にしないと、
あまり意味がないように感じます。
贈与税が非課税!
それだけを見て、
この規定を使うのは
注意が必要ですね。
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