「並んでるね、金星と…」
「あー、水星?」
「違うよ木星だよ」
「いや、水星だ」
「どっちでもいいし」
夜中のドライブで疲れた彼は大きな欠伸をしてみせた。
「眠いの?」
森を抜けた先に突然開けた野原に停めた車の中で、私は前のめりでフロント越しに見上げていた。
美しく細くしなった月と周囲を圧倒する輝きの星が綺麗に並んでいた。
余りに見惚れる私。呆れた彼はすぐ目の前に広がる星の輝きさえ目もくれずに座席を倒した。
それから疲れた表情で微笑むと私の髪をひとすくいする
「髪…伸びたね」
呟いた。
「切ったんだけど…」
怒って唇を結ぶと彼は満面の笑みを見せた。
「あ、、わざと?なんなの意地悪…」
「ごめんごめん、、」
「でもまさか私達がこんな所にいるなんて誰も…思ってないよね」
「……どうだろ」
「2人で抜け出してるからって別に特別な訳じゃない…ただのドライブだろ?」
「………ねえ…」
「何」
「お願いがある…」
「なんだよ…こんな夜中にこんな所まで来ただけでもかなりの譲歩だと思わないか?しかも2人で…」
「ごめん」
「俺が、今どんな気持ちかなんて…分からないだろう?」
「……」
「好きな女と2人でいても触る事も出来ない…だって俺とは【友達】のままがいいんだっけ?」
「………」
「またそんな顔して、目に涙溜めて?そしたら俺が怯んで許すって分かってる…卑怯だ」
「…………」
何も言えなかった。明けた空は明るくてもう星も消えていたけど、私の中であなたと言う一等星はずっとずっと輝き続ける。
「で?なんだよ頼みって…」
「……キス…して欲しい」
太陽が顔を出し冷たい空気の中、2人を赤く染めた。
黎明に綺羅2へ続く
始まりましたー。
余りにも春花秋月にハマりすぎて…オリジナルわすれてたわ。ごめん。
とは言えがんばりまーす。