スペインのマドリードでひとり暮らしをしている中年女性、ジュリエッタ。恋人のロレンソとポルトガルへの移住を計画していた彼女だったが、ある日、知人から“あなたの娘を見かけた”と告げられ、激しく動揺する。娘のアンティアは12年前、何も言わずに突然ジュリエッタの前から姿を消してしまったのだった。ロレンソとのポルトガル行きを諦めた彼女は、かつて娘と暮らしたアパートへ引っ越し、娘との再会にかすかな希望を抱く。そして心の奥底に封印していた過去と向き合い、所在も分からぬ娘に宛てた手紙を書き始めるジュリエッタだったが…。
こちらは2016年制作の スペイン 映画になります
以前にもご紹介した「私が、生きる肌」「バッドエデュケーション」のペドロ・アル
モドバル監督の作品になります
今回は アリス マンロー という作家の短編集に収録された、エピソード三編を原作と
した物語を アルモドバル が再構築させた脚本での映画となっております 主人公の
ジュリエッタ という女性の、20代~50代に渡り、波乱の人生を描いています
恋人の ロレンソ と ポルトガル へ引っ越す為、荷造りをする ジュリエッタ 息抜
きの為 一人街へと散歩に出ると、久しく会っていなかった娘の親友の ベア に偶然出
会い、再会を喜び合い、軽い会話を交わすのですが、その内容に ジュリエッタ は驚愕
するのでした その内容とは ジュリエッタ の娘 アンティア にイタリアのある町
で出会ったというのです
実は ジュリエッタ の娘 アンティア は、12年前に ジュリエッタ の前から何処かへ
消えたまま音信不通になっていたからです その日から ジュリエッタ の頭の中は娘の
事でいっぱいになり所在も分からない アンティア に向けて、手紙を書き始めるのでし
た 何故 アンティア はジュリエッタ の前から姿を消してしまったのか、、、何故
その答えを探す事は ジュリエッタ 自身の、過去への旅へとつながって行くのでありま
した。
20代~30代、40代~50代の ジュリエッタ を二人の女優がそれぞれ演じていま
す それに対しての違和感は私は全く気になりませんでした アルモドバル
独特の色使い、色彩設計は通常どうりで、画面に映される服やインテリアも相変わら
ずのセンスであります
脚本もかなり練られた構成になってはいるのですが、重要な部分はカメラの外で行わ
れている事が多く、アンティア が家を出てからの行動や、後に ジュリエッタ の夫に
なる ジョアン の昏睡状態だった妻の事や、家政婦と アンティア の関係 ジュリエッ
タの母親の死 等は、思い切った省略での説明になっています そしてついつい期待し
てしまう アルモドバル 的」なエキゾチックな世界観や人物描写は控えめになっていま
す その分 ジュリエッタ の心のゆらぎが繊細に描き出される事になるのですが。
当初のタイトルは 「サイレンス」 だったそうですが、スコセッシ の作品との混同を
避ける為、今のタイトルになったようです 当初のタイトルの意図を今作に置き換え
ると、少し納得がいく所があります それは ジュリエッタ という女性は、事が上手く
行く為にあえて沈黙するという行動をとっている場面が多いのです、恋人 ロレンソ と
の別れの理由、ジョアン の過去の女性関係、思春期の娘とのコミュニケーション そ
れが原因で様々な事が悪い方向に向かってしまっていたのを気付かずにいたのです
最後にやっと ジュリエッタ に 沈黙 が解放される時が訪れます それがどのようなも
のになるのか、、、それは誰にも分からない形で、終わりを迎えます
娘から、妻そして母親 と 、ジュリエッタ の目線が変化してゆく所も素敵な演出です
新たな アルモドバル 映画の幕開けになる作品かも知れませんし、今までのアルモド
バル映画が好きな方には物足りなさを感じるかも知れません しかし、女性、
愛、損失、絆、再出発、そして母親 というテーマの探求は変わる事無く、撮り続ける
事でしょう アルモドバル好きでも、そうでない方も、特に女性の方に観て頂きたい
作品となっておりますので、機会がありましたらご覧になってみて下さいませです
しかし今週は借り過ぎてしまった、、、取り寄せと、新作一週間がダブルで来て調子
に乗ってしまった、、、そして自分の文章力の無さに愕然としてしまった、伝えたい
事が強い程、片言の日本語のようになってしまっている、、 こんな文章にお付き合
いして頂いている方がいらっしゃるのか もし、いらっしゃるとしたら、、ありが
とうございます
では、また次回ですよ~!